ARNYS Forestière ― Appointment Only
1930年代頃のフランス製と見られる、コットンピケを使用したジョッパーズトラウザーズ。
フレンチワークの中でも特徴的なシルエットを持つジョッパーズ型に加え、針式のシンチバック、サスペンダーボタン、裾に連続して配されたボタンなど、古い年代ならではのディテールが凝縮された一本です。
生地には、太く明瞭な畝を持つコットンピケを使用。ブラウンを基調としながら、長い年月を経た退色によって赤みや褐色、ダークブラウンが複雑に混ざり合っています。均一なブラウンではなく、畝の凹凸や着用による擦れに沿って濃淡が生まれており、ヴィンテージのコットン素材ならではの奥行きを感じさせます。
シルエットは腰回りから腿にかけて大きくゆとりを持たせ、膝下から急激に絞り込まれる典型的なジョッパーズ型。もともと乗馬用パンツに由来する構造で、膝上の可動域を確保しながら、ブーツへ収まりやすいよう膝下を細く設計した合理的な形状です。平置きの状態でも、その独特な曲線がはっきりと確認できます。
さらに膝には切り替えを設け、裾の外側には左右それぞれ複数のボタンを配置。開閉することで着脱しやすくするためのディテールで、単なる装飾ではなく、細く絞られた裾を成立させるための機能的な仕様です。ブラウンの生地に赤茶色のボタンが連続する姿も、この個体の印象を決定づけています。
ウエスト周辺にも古い年代の特徴が色濃く残ります。ベルトループを持たず、ウエストにはサスペンダー用のボタンを配置。背面中央には尾錠を備え、バックルには後年のスライド式ではなく、金属製の針を生地へ直接通して固定する「針シンチ」と呼ばれる古い仕様が採用されています。
生地に針を刺してウエストを調整するという非常に原始的な構造であり、当然ながら使用を重ねるほど生地には痕跡が残ります。現代の衣服ではまず採用されることのない機構で、こうした不便さを含めて当時の衣服の構造をそのまま伝えている点も興味深い部分です。
フロントはボタンフライ。ウエスト内側には別布を用いた補強が施され、表側の荒々しいピケとは対照的に、内側には当時の実用品らしい合理的な仕立てが確認できます。バックには片側のみポケットを設けるなど、必要な機能だけを残した簡潔な構成です。
現在の感覚で見ると極めてデザイン性の高い一本ですが、その造形の多くはファッションとして加えられたものではなく、乗馬や作業に対応するための機能から生まれたもの。
太畝のコットンピケ、膨らみを持つ腿から細い裾へと続く独特なシルエット、連続する裾ボタン、そして針式シンチバック。古いフレンチワークの構造そのものがデザインとして成立した、非常に存在感のあるジョッパーズトラウザーズです。
■size(cm)
サイズ表記:表記なし
ウエスト96/裾幅15/股上38/股下55.5/総丈93.5
■textile
Shell:Cotton100%
■model
■condition
ヴィンテージ特有の着用感がございます。
その他は画像をご確認下さいませ。
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