アメリカンジーンズの象徴として語られる"Levi’s(リーバイス)"の中でも、特別な存在感を持つのが501という型番です。
19世紀に誕生したオリジナル・ブルージーンズとして、100年以上にわたり形をほとんど変えずに受け継がれてきた、まさに完成されたプロダクト。
時代ごとに細かな仕様変更が行われるものの、アイコンとしての本質は変わらず、どの年代も確固たる魅力を宿しています。
そのなかでも80年代製の501は、古き良きアメリカ製デニムの質感を残しつつ、現代のスタイリングにも馴染み良い絶妙なバランスを持つ年代として高く評価されています。

その特徴としてまず挙げられるのが、ポケット部分の取り付け強化のバータック(カンヌキ)が黒色である、通称"黒カン抜き"です。
無骨で控えめながらも、経年により独特の深みを帯びた黒の色調は、ヴィンテージ特有の表情を醸し出します。

そして、80年代デニム最大の魅力とも言えるのが、穿き込むことで生じる生地の"ねじれ"。
現代の防縮加工されたデニムでは見られない、古いロットのリングスパン糸による独特の撚れ──洗いをかけるたびに脚の外側へとシームが寄っていくあの現象です。
このねじれは、デニムが本来持つ綾織の特性と、生地の硬さ・縮みの不均一さによって生まれるもの。
まさに"古いアメリカ製デニムだけの美しい歪み"といえるディテールで、穿き込みの過程が色落ちとともに自身だけの一本へと育っていく喜びを味わえます。

本個体が持つ最大の特徴は、市場でも特に希少性の高い"赤耳セルビッジ(Red Line Selvedge)"仕様である点です。
80年代前半までの一部ロットにのみ存在する赤耳セルビッジは、シャトル織機で織られた旧式デニムの証。
通常のプレーンなオーバーロック仕上げとは異なり、裾をロールアップした際に見える"赤いライン"が象徴的なディテールです。
シャトル織機によるデニムは生地の密度が高く、表面のザラつきや凹凸感、穿き込みによるタテ落ちの立体感がより美しく表れます。
また、縮率の不均一さから生じるねじれの強さや、アタリの出方にも独特の奥行きが生まれ、同年代のノンセルビッジとは明確に異なる表情へと育ちます。

また、本作のデニム生地は、まだアメリカの工場生産が主流だった時代特有の、粗野でザラついた質感が魅力です。
糸ムラのあるリングスパン糸を使用し、表面に点々とした色の深浅が浮かぶため、洗い込みの際には縦に落ちる"タテ落ち"が強く現れます。
80年代ならではのこの荒々しさは、90年代以降の均一的な生地とは明確に異なり、ヴィンテージ市場でも特に評価の高いポイントとなっています。

シルエットは、501らしいストレートフィット。
深めの股上により腰位置でしっかりとホールドし、腿周りには自然な余裕を残しながら、裾に向かってスッと落ちるバランスの良いストレート。
現代的な細身でもなく、90年代以降のフィットとも異なる、まさに"無駄を削ぎ落とした完成形"と言える一本です。
どのトップスやシューズとも相性が良く、スタイリングの軸として永く活躍します。
ディテールは、501の普遍的要素である5ポケット、トップボタン、リベット補強、オフセットセンターループなどを備えつつ、80年代の雰囲気をそのままに残しています。

バックポケットにはLevi’sの象徴であるアーキュエイトステッチが入り、赤タブがアクセントに。紙パッチは適度に経年変化し、味わい深い風合いが宿っています。
色落ちに関しても、80年代特有の淡いブルーと濃淡のあるグラデーションが絶妙で、ヒゲ・ハチノス・裾のアタリなど、長年の着用によってしか生まれない豊かな表情が魅力です。
加工では決して再現できない、自然な経年変化の美しさを存分に味わえる一本といえます。

80年代製の501は、デニムの本質である"タフさ"と"個性の育ち"が最も分かりやすい年代。
アメリカ製デニムが持つプリミティブな魅力を味わいたい方にこそ、ぜひ手に取っていただきたい一本です。
長く穿くほどに深まる味わいと、時代を超えて愛される普遍的なシルエット──名作501を堪能できる、まさに本物のヴィンテージでございます。

■size(cm)
ウエスト88/裾幅21/股上30.5/股下83.5/総丈114

■textile
Shell:Cotton100%

■model

■condition
全体的に着用感がございます。
その他は画像をご確認下さいませ。

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