1930年代頃のドイツ製ワークニットジャケット。
ダブルブレスト仕様で構築された独自の存在感を放つ一着です。

ヨーロッパ各地で見られるワークウェアの中でも、ドイツのプロダクトは機能性と質実剛健な作りに特徴があり、このジャケットもその精神を色濃く反映しています。
厳しい労働環境に耐えるために用いられた肉厚なウールニットは、年月を経てもなお力強い表情を湛え、当時の空気感を現代に伝えています。

特徴的なのは、胸元から裾まで走るダブルブレストのボタン配置。
軍服的な要素をも感じさせるデザインは、同時代のフレンチやイタリアンワークにはあまり見られず、ドイツ独自の機能的合理性に基づいたディテールといえます。
使用されているボタンも複数種類が混在しており、経年や修繕の過程で付け替えられた痕跡が、ヴィンテージならではのリアリティを醸し出しています。

また、袖口や裾に見られる擦れやダメージは、このジャケットが実際の労働現場で長年着用されてきたことを物語ります。
ニット特有の編み地が解けながらも補修を繰り返して受け継がれてきた姿は、単なる衣服を超えた「生活の証」としての存在感を放っています。
着用可能なコンディションを保ちながらも、この風合いは現代の服作りでは再現できない一点物の魅力といえるでしょう。

素材には厚手のウールを採用しており、保温性に優れつつも編み組織による通気性を備えています
。秋冬のアウターとしてはもちろん、オーバーサイズのコートやジャケット下にインナー的に合わせることで、スタイリングに独特の奥行きを与えます。
特に現代のモードやミリタリースタイルとも相性が良く、クラシックとコンテンポラリーを架橋するピースとして活躍するはずです。

1930年代という、第二次世界大戦前夜の緊張感漂う時代背景を考慮すれば、このジャケットが放つ無骨さや実直さは、単なるデザインを超えた時代性を宿していることに気づきます。
生産効率やファッション性よりも「生き抜くための道具」として作られたワークウェア。
その中でここまで美しい佇まいを持ち、約100年の時を経て現存する個体は非常に稀少です。

今日のファッションにおいて、このようなヴィンテージのワークニットは単なる古着ではなく、文化的な遺産としての意味を帯びています。
実際に袖を通すことで、当時の職人や労働者の生きた時間を感じ取ることができるでしょう。
その上で現代的なコーディネートに落とし込めば、誰もが真似できない独自のスタイルを築き上げることができます。

ヴィンテージ市場でも流通数が極めて少なく、状態の良い個体はほとんど出回らないカテゴリー。
ファッションの視点からだけでなく、歴史資料的な価値も高い一着です。
無骨でありながらもどこか気品を漂わせるこのジャケットは、まさに本物のヴィンテージを求める方にこそふさわしい逸品といえるでしょう。
約90年以上の歳月を超えて現存する、唯一無二の存在感を持つジャケット。
ワークウェアの枠を超え、現代においても十分に実用可能なユニークピースです。

■size(cm)
肩幅51/身幅56/着丈62/袖丈53

■textile
Shell:Wool

■condition
全体的にダメージございます。
画像をご確認ください

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