バーバリーが英国製での生産を主軸としていた最終期、1989〜1990年頃に作られたダッフルコート。タグ表記「BURBERRY LONDON」「MADE IN ENGLAND」、オーダータグの仕様から、本個体は旧来の英国生産体制と、ブランドのグローバル化が始まる直前の過渡期に位置する一着と判断できます。

1990年前後のバーバリーは、ブランド史の中でも極めて重要な転換点に位置します。
まだ生産の主軸は英国国内、しかし、

・表記は「Burberrys」から「BURBERRY」へ
・ブランドはグローバル展開へ舵を切り始めている

＝ クラシックな英国服作りの終盤であり、同時に現代バーバリーの入口

この時代のコートは70〜80年代の“完全な実用品的重さ”を残しつつシルエットや着用バランスは明らかに洗練されているいわば「英国実用品としての最後の完成形」と呼べるポジションです。

--- 現行Burberry（バーバリー）との違い ---

・最大の違いは、服作りの前提コンセプト
1986年製のBurberrysダッフルは、「英国の気候と生活に根ざした防寒着」であることが明確な出発点。重さのある高密度ウール、風を通さない縮絨、ウールタータンによる総裏仕立てなど、快適さよりも耐久性と防寒性を優先した設計です。着用した瞬間に軽さを感じる服ではなく、着込むことで身体に馴染み、時間と共に完成していくタイプのアウターと言えます。

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ダッフルコートは、北欧の漁師服や英国海軍の防寒着を起源とする実用品。バーバリーはその成り立ちを尊重しながら、都市生活に適したパターンと品のある佇まいへと昇華させてきました。

この個体にもその思想は明確に表れており、表地には高密度に縮絨されたウール素材を使用。80年代的な重量感と防風性を保ちながら、90年代に向かう過程でわずかに柔らかさと着用バランスが整えられています。生地の密度そのものが防寒性を担う、現行品とは異なる設計です。

裏地にはウールタータンチェックを採用。後年の簡略化されたライニングとは異なり、視覚的な英国らしさと実用的な保温性を両立しています。フロントはトグル留め仕様で、手袋を着用したままでも操作しやすい合理性がルーツ。量感のあるフード、大ぶりなフラップポケットなど、すべてが実用から導かれたディテールで構成されていますが、全体のシルエットは過度に無骨にならず、あくまで“バーバリーのコート”として端正にまとめられています。

インバーティアのようなダッフル専業メーカーが、道具としての完成度を直線的に突き詰める存在だとすれば、バーバリーのダッフルはそれを日常着として洗練させた立ち位置にあります。王道の武骨さとは一線を画し、街着としての汎用性と品を備えている点が特徴です。また、現行バーバリーのダッフルが軽量性や快適性を重視したラグジュアリーアウターであるのに対し、本個体は英国の気候と生活を前提とした“実用品としての服作り”の思想が色濃く残っています。

古いから価値があるのではなく、英国製で完結していた時代の最後に作られたからこそ価値がある。　この1990年頃のバーバリーダッフルは、クラシックな英国服としての完成度と、現代へ移行する直前のバランスを併せ持つ、過渡期ならではの一着です。

■size(cm)
表記サイズ:50 Regular
肩幅51/身幅63/着丈93/袖丈62

■textile
Shell:Wool 100%
Lining:Wool 100%

■model

■condition
前立てにスレがございますが、その他とても綺麗な状態です。
その他は画像をご確認下さいませ。

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