ARNYS Forestière ― Appointment Only
1877年にオーストリア・ウィーンで創業した老舗ニットウェアメーカー、"FANNI LEMMERMAYER(ファニ・レママイヤー)"より、鮮やかなパープルの色彩が印象的なピュアアルパカカーディガンをご紹介いたします。
FANNI LEMMERMAYERは、約150年にわたって伝統的なニットウェアの製造を続ける、オーストリアを代表する老舗メーカーのひとつです。ブランドの創設者であるFanni Lemmermayerは、当時のボヘミア王国に位置するコリーンの織物職人の家庭に生まれ、後に夫とともにウィーンへ移住。わずか一台の編み機からニットウェアの製造を開始したことが、同社の歴史の始まりとされています。創業当初は羊毛を用いた手袋や靴下、ストッキングなどの製造を中心としていましたが、次第にベストやセーターをはじめとする衣料品へと展開し、独自の技術を発展させていきました。
ブランドの歴史において大きな転換点となったのが、1920年代に確立されたアルパカ素材と「リンクス・アンド・リンクス(Links-Links)」と呼ばれる特殊な編み技法の組み合わせです。
この技術の発展に重要な役割を果たしたのが、後に経営を担うJosef Thiel(ヨーゼフ・ティール)。英国の紡績工場やニットメーカーを訪問して製造技術を研究するなかで、アルパカの繊維特性を最大限に引き出す方法として、リンクス・アンド・リンクス編みに着目しました。一般的にパール編みとも呼ばれるこの技法は、表目と裏目を交互に組み合わせることによって編地を形成するもので、通常の平編みとは異なる独特の伸縮性と柔軟性を備えています。縦横の両方向に自然な伸びが生まれるほか、編地の表裏で大きな差が生じにくく、身体の動きに対して柔軟に追従することも特徴です。
FANNI LEMMERMAYERは、1920年頃にアルパカを用いたリンクス・アンド・リンクス編みの製造体制をいち早く確立し、この技術を自社製品の中心に据えることで、他のニットメーカーとは一線を画す存在となりました。また、その優れた伸縮性や温度調節機能から、かつてはゴルフをはじめとするスポーツシーンにおいても愛用されてきた歴史を持ちます。
今回ご紹介する個体は、そうしたブランドの伝統的な技術を背景に、鮮明なパープルを全面に採用した一着です。
最大の魅力は、何よりもその美しい色彩にあります。ブルーのニュアンスをわずかに含んだ、深く鮮やかなパープル。単純な原色とは異なり、光の当たり方によって青紫から赤紫へと微妙に表情を変える色合いは、上質な天然繊維ならではの奥行きを感じさせます。発色の強いカラーでありながら、アルパカの繊維が持つ自然な光沢と柔らかな毛羽立ちによって、派手さだけに傾かない上品な仕上がりとなっています。
素材には、南米アンデス地方に生息するアルパカの繊維を100%使用。アルパカは、軽量でありながら優れた保温性を持ち、柔らかな肌触りと温度調節機能を兼ね備える天然繊維として知られています。本作では、その素材をパール編みによって柔軟に編み立てることで、空気を含んだような軽やかさと、身体に自然に沿う美しい落ち感を生み出しています。
表面には細かな編み目による繊細な凹凸が現れ、アルパカ特有の柔らかな毛羽立ちが全体を包み込むような質感を形成。背面上部などには編地のわずかな透け感も見られ、重厚な印象になりがちなニットウェアに軽快な表情を与えています。
デザインは、深く開いたVネックとフロントボタンを備えた、極めて端正なカーディガンスタイル。前立てには小ぶりなボタンを配置し、装飾的な要素を抑えることで、素材の質感と鮮やかな色彩そのものを際立たせています。
特に印象的なのが、袖から袖口へと続く独特のシルエットです。肩位置をやや落としたゆとりのある設計に対し、袖には自然な膨らみを持たせ、手首に向かって緩やかに絞り込まれる形状を採用。
袖口には長めのリブを設けることで、柔らかな編地に適度な緊張感を与えています。
この膨らみのある袖と、細く収まるリブとの対比が、シンプルな構成のなかに美しい立体感を生み出しています。
また、裾部分にも特徴的な設計が見られます。
前身頃のリブは中央に向かって斜めに落ちるような形状となっており、左右の裾が重なり合うような独特の輪郭を形成。ボタンを留めた際にも、フロントの下端に自然な動きが生まれ、一般的な直線的な裾とは異なる表情を見せています。
背面は装飾を排したすっきりとした構成で、アルパカの柔らかな落ち感を生かした、自然なシルエットにまとめられています。
身頃全体には適度なゆとりが設けられており、軽やかな着心地とリラックスした佇まいを両立。
シャツやカットソーの上から羽織ることはもちろん、深いVネックを生かしてインナーとの組み合わせを楽しむことも可能です。
鮮やかなパープルは、ブラックやチャコールグレー、ブラウン、ベージュなどの落ち着いた色彩とも相性が良く、シンプルな装いのなかで自然に存在感を発揮します。
長い歴史のなかで受け継がれてきた独自の編み技術、アルパカという素材への深い理解、そして色彩の美しさ。
一見するとシンプルなニットカーディガンでありながら、その編地やシルエットには、専門メーカーとして培われた技術と美意識が凝縮されています。
オーストリアの伝統的なニットウェア製造技術と、鮮烈なパープルの色彩が見事に調和した、FANNI LEMMERMAYERならではの一着です。
■size(cm)
表記サイズ:44
肩幅45/身幅59/着丈66.5/袖丈65
■textile
Shell:Alpaca100%
■model
■condition
綺麗な状態です。
その他は画像をご確認下さいませ。
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