90's "HERMÈS" Black Color Cotton Fly-Front Coverall (Design by Véronique Nichanian)

¥165,000

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本品は1990年代、Véronique Nichanian(ヴェロニク・ニシャニアン)が手掛ける"HERMÈS(エルメス)"のメンズコレクションより、ブラックコットンで仕立てられたカバーオールになります。

1988年よりHERMÈSのメンズ部門を率いるVéronique Nichanian。彼女のクリエーションを見ていると、エルメスにおけるメンズウェアが、単にラグジュアリーな素材を用いた服ではないことがよく分かります。乗馬や旅行、スポーツといったメゾンの背景に存在する実用品を起点としながら、それを都市生活のための衣服へと置き換えていくこと。とりわけ1990年代のコレクションには、その特徴が分かりやすく表れています。

今回の一着も、出発点にあるのは極めて簡潔なカバーオール。ワークウェアとして見慣れた構成を持ちながら、実際に袖を通してみると、その印象は一般的なカバーオールとは大きく異なります。

まず特徴的なのが生地です。使用されているのはブラックのコットンファブリック。ワークジャケットに使われるような硬く乾いたダックやキャンバスではなく、表面にわずかな光沢を含んだ、しっとりとした手触りのコットンです。高密度に織られているため薄手ながら生地には適度な密度があり、それでいて硬さはありません。手に取った際には滑らかに落ち、身体の動きに合わせて柔らかく形を変えていきます。ブラック一色でありながら、生地の表面が光をわずかに拾うことで、平面的に見えないのも魅力です。

そして、この生地の良さを最大限に活かしているのが、裏地を一切設けない軽快な仕立て。一般的なジャケットのように肩や胸を構築するのではなく、一枚の布を身体へ沿わせるような感覚で着用できます。シャツほど軽すぎず、ブルゾンほどスポーティーでもなく、テーラードジャケットほど構築的でもない。その中間に位置する絶妙なバランスです。
春や秋にはシャツやカットソーの上から軽く羽織り、気温が下がればニットの上から。裏地がないため袖通りも含めて服そのものが非常に柔らかく、長いシーズンで活用していただけます。

フロントは比翼仕立て。最上部のボタンのみを表へ見せ、それ以下のボタンを前立ての内側へ隠しています。カバーオールという本来であればステッチやボタン、ポケットなどのディテールが前面へ現れる衣服に対して、フロントから情報を意図的に取り除いているのが面白いところ。
正面から眺めると、まず目に入るのは襟、そして縦方向へ真っ直ぐ伸びる比翼のラインと左右のパッチポケットだけです。装飾によって高級感を示すのではなく、構成を整理することでカバーオールを端正に見せています。

一方、腰には大きめのパッチポケットを配置。角を僅かに丸めた形状や、ポケット上部に沿って入るステッチなど、ワークウェアの要素を残しながらも非常に整った表情です。

肩周りも興味深い作りです。やや落としたショルダーラインから袖を真っ直ぐに落とし、袖山付近には縦方向に切り替えられた特徴的なパネルが確認できます。このディテールによって肩周りに僅かな立体感が生まれ、平面的なシャツジャケットとは異なるシルエットを形成しています。
身幅には十分な余裕を持たせながら、裾まで大きく広げないストレートなボディ。着丈もしっかりと確保されており、ジャケットというよりハーフコートに近い感覚でも着用できます。

背面も極めて簡潔です。中央に一本のシームを通すのみで、ベントやベルトなどの装飾的なディテールは設けられていません。そのため後ろ姿ではコットンそのものの落ち方がよく分かります。

また、ブラックという色もこの個体にはよく合っています。カバーオールは本来、ブルーやブラウン、ベージュといったワークウェア由来の色を連想させるものですが、それをブラックで統一することで、出自を感じさせながらも全く異なる衣服として成立しています。
デニムやチノパンツはもちろんですが、ウールトラウザーズやクリースの入ったスラックスとの組み合わせも自然です。
シャツに革靴という端正なスタイルの上から羽織っても違和感がなく、逆にTシャツやニットに合わせても過度にドレスへ寄らない。
「何に合わせるための服なのか」を限定しない懐の深さがあります。

華美なディテールや分かりやすいブランドロゴはありません。
それでも、生地に触れ、比翼を開き、肩の構造を眺め、実際に羽織ってみると、一つひとつの選択が非常によく考えられていることが分かります。
ワークウェアの代表格であるカバーオールを、単純に上質な素材へ置き換えるのではなく、「どこを残し、どこを削るのか」という設計によってHERMÈSの衣服へと変えている一着。

1990年代のVéronique NichanianによるHERMÈSらしい、日常着として気負わず使えるカバーオールです。

■size(cm)
表記サイズ:50
肩幅49/身幅58/着丈80/袖丈65

■textile
Shell:Cotton100%

■model

■condition
全体的に着用感がございます。
その他は画像をご確認下さいませ。

発送まで4日程度頂戴いたします。

【必ずオンラインサイト下部の特定商取引法に基づく表記をお読みになってからご購入ください。】
※神経質な方のご購入はご遠慮ください。
※NCNR、ビンテージやアンティークにご理解のある方のみご購入下さい。

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