ARNYS Forestière ― Appointment Only
Martin MargielaがHERMÈSのウィメンズ・プレタポルテを手掛けた1997年から2003年、現在「マルジェラ期」と呼ばれる時代を代表するアクセサリーのひとつ、「Clochette/クロシェット」。
クロシェットとは、もともとHERMÈSのバッグに取り付けられ、鍵を収めるために作られた小さなレザーケースを指します。
MargielaはHERMÈSに以前から存在していたこのディテールに着目し、そのサイズを大きくするとともに長いレザーストラップを組み合わせることで、首から下げることのできるアクセサリーへと再構築しました。
このクロシェットが発表されたのは1998-99年秋冬。Margiela自身も後年、HERMÈSで最初に手掛けたアクセサリーとして、バッグに使用されていたクロシェットを拡大し、ネックレスとして身につけられるものへ変えたことを説明しています。
今回の個体で特に目を惹くのが、その色使いです。
深い赤みを含んだダークブラウンのレザー。その輪郭に沿って走るのは、革色に完全に馴染ませるのではなく、わずかにコントラストを生む赤系のステッチです。
一見すると非常に簡潔なデザインですが、光が当たることで赤い糸が浮かび上がり、クロシェット特有の五角形を思わせる輪郭がより鮮明になります。
同モデルにはレザーやステッチの組み合わせにいくつかのバリエーションが見られますが、このダークブラウンに赤系ステッチという組み合わせは印象的。マルジェラ期のHERMÈSというだけではなく、個体そのものの魅力として見ていただきたいディテールです。
正面にはロゴや象徴的な金具を配置せず、レザーの質感、ステッチ、そして裁断された輪郭のみで構成。
一方、クロシェットを開くと内側には、
HERMÈS
PARIS
MADE IN FRANCE
の刻印が入ります。
ブランドを示す刻印を外側ではなく内側へ収めているため、着用時にはHERMÈSであることがほとんど表に現れません。
また、長いレザーストラップの先には2つのメタルリングを装備。
リングへ鍵を取り付け、クロシェット内部へ収めることができるため、単なる装飾品ではなくキーケースとしての機能も備えています。
このプロダクトの面白さは、何か新しい装飾を加えることで成立させたものではないということ。
バッグの脇に存在していた小さなクロシェットを大きくし、バッグから切り離し、身体へ移動させる。
行われていることは非常に単純ですが、スケールと用途が変わった瞬間、それまでバッグの付属品でしかなかったものが、ひとつの独立したアクセサリーとして見えてきます。
HERMÈSが長い歴史の中で培ってきたレザークラフトを尊重しながら、その使われ方だけを変える。
マルジェラ期のHERMÈSを理解するうえでも非常に興味深いプロダクトです。
長く細いレザーストラップは、シャツやカットソーの上からそのまま垂らすだけでも綺麗に収まり、ジャケットやコートの内側からクロシェットだけを覗かせても良いでしょう。
金属を主体としたジュエリーとは異なり、革紐と小さなレザーケースだけで構成されているため、アクセサリーとして主張しすぎないのも魅力。
もちろん、実際に鍵を収納して日常的なキーケースとして使用することもできます。
HERMÈSの伝統的なバッグパーツから生まれた「Clochette」。
その背景を知らなければ非常に簡素なレザーネックレスに見えますが、そこにはHERMÈSの歴史とMartin Margielaによる再解釈が凝縮されています。
そして今回の個体では、深いブラウンレザーと赤系ステッチの組み合わせも大きな見所。
マルジェラ期のHERMÈSを、衣服とはまた違った形で楽しんでいただける一点です。
■size(cm)
ネックレス長さ/100 ボディ/横7.5x縦8
■textile
Shell:Lether
■model
■condition
綺麗な状態ですが、使用感がございます。
その他は画像をご確認下さいませ。
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