ARNYS Forestière ― Appointment Only
1991SSシーズンの"C.P. COMPANY(シーピー・カンパニー)"は、Massimo Osti(マッシモ・オスティ)が確立した“都市と機能服の接続”が極めて成熟していた時代に位置します。
1970年代後半から一貫して、ミリタリー、ワーク、スポーツウェアを再構築しながら独自の衣服を作り続けたC.P. COMPANYは、単に既存のユニフォームを引用するブランドではありませんでした。
重要なのは、用途のために生まれた構造を現代の日常着として翻訳すること。
そのため同ブランドのプロダクトには、見た目の派手さよりも、生地・染色・パターン・副資材の積み重ねによる説得力があります。
特にオスティ期のC.P. COMPANYは、ガーメントダイという技法を核に発展していきます。
製品完成後に染色することで、縫製部分のアタリやパーツごとの染まり方に差異が生まれ、既製服でありながら長年着込んだような奥行きが形成される。
この手法は現在では広く知られていますが、当時としては極めて革新的でした。
こちらは1991SSシーズンに製作された、4ポケット仕様のジップアップ・ハーフコート。
一見すると軽量なフィールドジャケットの延長線上にあるようでいて、実際には非常に複雑な設計思想を持った一着です。
ロング丈に設定されたボディ、ナイロン混素材特有の光沢感、肩と襟裏に切り替えられたリネンファブリック、そして内部に備えられた大型メッシュポケット。
いずれも単なる装飾ではなく、機能を持った構造として成立しています。
この服が印象的なのは、アウトドアウェア的な実用性を持ちながら、いわゆるテクニカルウェアの冷たさに寄り切っていない点です。
オリーブグリーンを基調とした色構成に、生成りに近いブラウンリネンを肩へ切り替えることで、工業製品的な印象を和らげている。
さらに製品染めによる色ムラが加わることで、生地全体に独特の陰影が生まれています。
均一に整ったラグジュアリーではなく、使用環境や素材の特性をそのまま受け入れた表情。
それこそが、この時代のC.P. COMPANYの魅力です。
生地はこの年代特有のコットン×ナイロン混紡素材を採用。
タグ表記では55%コットン、45%ポリアミド
。Massimo Osti期に多く見られる配合で、コットン単体では得られない軽さと滑りを持ちながら、ナイロン100%ほど人工的な表情にならない絶妙なバランスです。
実際に触れると、非常に薄手でありながらハリがあり、光の当たり方によって鈍い艶が浮かび上がります。
これはガーメントダイによって繊維の収縮率に差が生まれ、生地表面に細かな凹凸が形成されているためです。
また、この素材は着用時の皺までも魅力へ転化します。
一般的なナイロンウェアのようなスポーティなシワではなく、どこか紙のような乾いた質感を持っている。
そのため、着込むほど立体感が増し、身体の動きがそのまま服の陰影として残っていきます。
肩と襟裏にはリネン素材を切り替えています。
この服の印象を決定付けている要素の一つです。
通常、摩耗しやすい肩部分にはナイロン補強やレザー補強を行うケースが多い。
しかし本作では、粗さを残したリネンをあえて使用。
これにより、軽量なコットンナイロンのボディに対して異素材の乾いた表情が加わり、単調さを回避しています。
さらに襟裏まで同素材で切り替えることで、襟を立てた際に表情が大きく変化する設計。
このブランドは着方によって見え方が変わる服を数多く作っていますが、本作もその文脈にあります。
襟を寝かせれば軽快なハーフコート、立てればフィールドウェア的な空気感が強くなる。
構造によって着用者の印象を変化させる点は、オスティ作品らしい特徴です。
シルエットは非常にゆったりとしたロングバランス。
肩線はやや落ち、身幅にも十分な余白がありますが、単純なオーバーサイズには見えません。
理由は、生地自体が非常に軽量であることに加え、縦方向へ自然に落ちるパターン設計になっているためです。
特に美しいのは、フロントジップを開けた状態。
薄手の生地が前方へ逃げることで、コートとシャツジャケットの中間のような独特のドレープが生まれます。
丈感も絶妙で、ブルゾンほど短くなく、フルコートほど重くない。
この中間着的な設計は、90年代初頭のイタリアンスポーツウェアに多く見られる特徴ですが、その中でも本作は極めて完成度が高い部類です。
ジップには大型のメタルファスナーを採用。
軽量なボディに対してあえて重量感のあるパーツを組み合わせることで、全体のバランスを引き締めています。
さらに内側には大型のメッシュポケットを装備。
90年代初頭、C.P. COMPANYは衣服内部の機能性を強く意識しており、外見だけでは分からないギミックを数多く搭載していました。
本作のメッシュポケットもその一例で、通気性を確保しながら収納力を拡張。
雑誌や地図なども収納可能なサイズ感で、実際の都市生活を前提に作られていたことが分かります。
また、ウエストにはドローコードを内蔵。
これによってシルエット調整も可能で、ストレートに落として着用することも、絞ってフィールドコート的に見せることもできます。
軽量素材ゆえにギャザーが柔らかく出るため、絞った際にも無理なボリュームが出ません。
こうした可変性も、この時代のC.P. COMPANYの魅力です。
現在の視点で見ても、この服は非常に現代的です。
近年のテクニカルウェアやラグジュアリースポーツの源流には、Massimo Ostiの存在があります。
しかし実際に当時のオリジナルを手にすると、現代服との違いも明確に見えてきます。
それは、素材と構造そのものに重心が置かれているという点。
ロゴや視覚的インパクトではなく、生地の質感、着用時の皺、パーツごとの経年変化、身体との関係性によって完成されているのです。
だからこそ、30年以上経過した現在でも古さがない。
むしろ、量産的な均一さが強まった現代衣服の中で、この時代のC.P. COMPANYはより特異に映ります。
Massimo Ostiが生み出した衣服は、機能服を美しく見せるのではなく、"機能そのものが造形になる"という地点に到達していました。
こちらの一着もまさにその代表例と言えるでしょう。
■size(cm)
表記サイズ:54
肩幅57/身幅66/着丈89.6/袖丈67
■textile
Shell:Cotton55% Nylon45%
Detail:Linen100%
■model
■condition
全体的に着用感はございますが綺麗な状態です。
その他は画像をご確認下さいませ。
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