ARNYS Forestière ― Appointment Only
1982年、Massimo Osti(マッシモ・オスティ)によって設立された"STONE ISLAND(ストーン・アイランド)"。
ブランド創設当初から一貫していたのは、"既存の衣服素材では到達できない領域"への探求でした。
単なるデザインブランドではなく、素材研究機関のような側面を持っていたことこそ、STONE ISLAND最大の特徴と言えるでしょう。
軍用資材、工業素材、フィルタークロス、セーリングウェア。
本来ファッションとは無縁だった素材群を解析し、それを都市生活用の衣服として再構築する。
その姿勢は80年代から90年代にかけて既に確立されており、2000年代初頭にはさらに成熟していきます。
そして、マッシモ・オスティ退任後、その実験性をより洗練された方向へ推し進めたのがPaul Harvey(ポール・ハーヴェイ)でした。
こちらのジャケットは、まさにその時代を象徴する一着です。
一見するとミニマルなダークネイビーのジップアップジャケット。
しかし実際に触れ、光を受け、生地の表情を観察すると、この服が極めて異質なプロダクトであることが分かります。
最大の特徴は、やはり"MONOFILAMENT"素材。
STONE ISLANDにおけるMONOFILAMENTは、単なる化学繊維ではありません。
モノフィラメントとは、本来工業用途でも使用される"単繊維構造"を意味します。
通常のナイロン生地は複数の細い繊維を撚って糸にしますが、MONOFILAMENTは一本の繊維そのものを糸として使用する。
その結果、生地表面に独特の透明感と硬質感が生まれます。
さらにこちらはナイロンとコットンを組み合わせた複合素材。
単なるナイロンシェルとは異なり、天然素材特有の柔らかさと、有機的な皺感を併せ持っています。
つまり、工業素材の緊張感と日常着としての馴染みを両立しているのです。
Paul Harvey期のSTONE ISLANDは、この相反する要素を同時成立させることに非常に長けていました。
こちらもその典型と言えるでしょう。
特に美しいのが、ガーメントダイによる色の沈み方です。
完成後染色によって、MONOFILAMENT特有の光沢感に深い陰影が加わっています。
通常のナイロンではフラットになりやすいダークネイビーも、この素材では光の角度によって複雑な表情を見せます。
黒に近い深いネイビーにも見えれば、僅かに青みを帯びたメタリックな色にも見える。
しかもそれが、過度にテックウェア的な見え方になっていません。
あくまで"洋服"として成立している。
2000年前後のSTONE ISLANDは、テクノロジー偏重ではなく、テーラリング感覚を残したまま素材実験を行っていました。
そのため、未来的な素材を使っていても、着用時には非常に自然です。
このMONOFILAMENTも、まさにその感覚があります。
生地単体で見れば極めて特殊。
しかし着ると驚くほど日常に馴染む。
それこそがPaul Harveyの優秀さでした。
シルエットは2000年代初頭らしい、やや余白を持たせたバランス。
90年代後半の極端なオーバーサイズとも異なり、現代的な収まりを既に感じさせます。
肩周りには可動域を確保する立体構造が取り入れられ、腕の動きに対して非常に自然に追従します。
これはSTONE ISLANDが長年研究してきたミリタリーウェア由来のパターン設計によるものです。
単純なセットインではなく、人体構造に合わせて生地を配置することで、着用時のストレスを大幅に軽減しています。
さらにMONOFILAMENT特有の生地の張り感が加わることで、着用時に独特の立体感が生まれます。
身体に完全に沿うのではなく、僅かに空間を残しながら輪郭を形成する。
この浮遊感のあるシルエットは、この素材だからこそ成立しています。
また、フロントジップ仕様でありながら、全体の印象が極めて上品である点も興味深い部分です。
通常、テクニカルジャケットは機能性が前面に出やすい。
しかしこちらは、ミニマルなデザインによって生地そのものを主役にしています。
余計な装飾を削ぎ落とし、MONOFILAMENTの質感とガーメントダイの陰影を際立たせている。
だからこそ、近距離で見た際の説得力が圧倒的です。
ディテール面も非常に高い完成度を誇ります。
ジップ周辺の処理は無駄がなく、ポケット配置も極めて合理的。
しかし合理性だけでは終わっていません。
パーツ一つ一つのバランスが非常に美しく、工業製品のような精度を感じさせます。
STONE ISLANDはよく機能服として語られますが、本質的には"素材を用いた立体造形"に近いブランドです。
こちらのジャケットも、まさにそうした側面を強く感じます。
現在のテックウェア市場では、防水性や軽量性を前面に出した製品が多く存在します。
しかし、この時代のSTONE ISLANDは少し異なります。
数値化できるスペックだけではなく、"素材がどう見えるか""身体にどう馴染むか"まで含めて設計されている。
そのため20年以上経過した現在でも、全く古さを感じません。
むしろ現代の洋服と比較した時、この時代のSTONE ISLANDの完成度に驚かされます。
Massimo Ostiが築き上げた素材研究の文化。
そしてPaul Harveyによる洗練。
その両方が高水準で融合したのが、本一着。
単なるナイロンジャケットではありません。
工業素材、染色技術、人体構造、都市生活。
それら全てを一着の中で成立させた、2000年代初頭STONE ISLANDの代表的アーカイブと言えるでしょう。
■size(cm)
表記サイズ:XXl
裄丈101.5/身幅68/着丈76.5
■textile
Shell:Nylon60% Cotton40%
■model
■condition
生地特有の経年は見られますが綺麗な状態です。
その他は画像をご確認下さいませ。
発送まで4日程度頂戴いたします。
【必ずオンラインサイト下部の特定商取引法に基づく表記をお読みになってからご購入ください。】
※神経質な方のご購入はご遠慮ください。
※NCNR、ビンテージやアンティークにご理解のある方のみご購入下さい。
新商品やキャンペーンなどの最新情報をお届けいたします。