ARNYS Forestière ― Appointment Only
1985年製造、Massimo Osti(マッシモ・オスティ)によって手掛けられていた初期C.P. COMPANY(シーピー・カンパニー)。
現在ではガーメントダイやレンズディテール、テクニカルウェアの文脈で語られることの多いブランドですが、本来オスティが追い求めていたのは、単なる機能服ではありませんでした。
軍服、ワークウェア、スポーツウェア、テーラード。
それぞれが持つ構造や用途を分解し、再構築しながら、"日常着として成立する新しい衣服"へと変換すること。
その姿勢は80年代中期のC.P. COMPANYにも色濃く現れており、こちらの一着にも、まさにその感覚が凝縮されています。
85SSの本作は、一見すると軽やかなチェックブルゾン。
しかし実際に触れると、一般的なシャツジャケットともスポーツブルゾンとも異なる独特の空気を持っています。
オンブレチェックという柄の選択自体がまず異質です。
アメリカンヴィンテージにおけるオンブレチェックは、レーヨンシャツやカジュアルウェアに多く用いられてきた柄ですが、オスティはそれを極めてヨーロッパ的な解釈で落とし込んでいます。
色味はブラウン、グレー、ブラックを基調にした落ち着いた配色。
柄の滲み方も非常に繊細で、単なるグラデーションではなく、織り密度によって陰影を生み出しています。
そのため、生地全体に奥行きが生まれ、平面的なチェック柄には見えません。
加えて、この年代のC.P. COMPANYらしい用途不明な美しさも非常に魅力的です。
ワークジャケットのようでもあり、スモックのようでもあり、スポーツウェアにも見える。
しかしどれにも完全には属していない。
オスティは常に既存ジャンルを横断しながら服を作っていましたが、このブルゾンもまさにその感覚で構成されています。
表地の素材はウール。
ただ一般的なテーラード用ウールとは異なり、非常に軽く、ドライな質感を持っています。
織りは甘く、空気を含むような風合い。
そのため、生地に自然な落ち感があり、身体に沿いながらも硬さが出ません。
オンブレチェックとの相性も素晴らしく、柄の輪郭を強調しすぎず、柔らかく滲ませることで独特の陰影を作り出しています。
また、裏地に使用されているのがスーツ生地のようなビスコース素材という点も重要です。
通常のスポーツブルゾンであればナイロンやコットン裏地を採用するところを、あえてドレープ性の高いビスコースにすることで、着用時の動きが非常に滑らかになっています。
裏地に細かなストライプ生地を使用している点も含め、単なるカジュアルウェアではなく、どこかテーラードの感覚が入り込んでいる。
この感覚は、後年のStone Islandやテクニカルウェア路線とはまた異なる、初期オスティ特有の魅力と言えるでしょう。
シルエットは1980年代特有のゆったりしたバランス。
肩は大きく落ち、身幅にも十分な余裕があります。
しかし、ただ大きいだけではありません。
着丈を過度に長くせず、ボックス気味に整えることで、非常に収まりの良いバランスに仕上げています。
特に横から見た際のシルエットが美しく、生地の柔らかさと相まって、自然なドレープが生まれています。
袖もやや長めに設定されており、この時代特有のリラックスした空気をしっかり感じさせます。
一方で、襟周りには非常に強い個性があります。
リブ素材を用いたスタンドカラー仕様。
スポーツウェア由来のディテールでありながら、どこかニットジャケットのような上品さも持っています。
加えて、胸ポケットとフラップポケットの配置バランスも非常に秀逸です。
ワークウェア的な実用性を持ちながら、過剰な装飾感がありません。
フロントボタンにはブランド刻印入りスナップボタンを採用。
こうしたパーツ選び一つを取っても、単なる量産服ではなく、プロダクトとして強い完成度を持っていたことが伝わってきます。
肩周辺の独特な切り替えも興味深いポイントです。
通常のセットインスリーブともラグランとも異なる独自の構造で形成されており、視覚的なアクセントになっています。
オスティはミリタリーウェアのパターン研究を徹底して行っていた人物ですが、その経験がこうした部分に自然に反映されています。
現代の視点で見ても、このブルゾンの完成度は非常に高いです。
今のファッションはテクニカル一辺倒でも、クラシック一辺倒でも成立しにくくなっています。
その中で、この85SSのC.P. COMPANYは非常に自然です。
ワーク、スポーツ、テーラード、ミリタリー。
それぞれの要素が無理なく共存している。
しかもそれを、1985年という時代に既に成立させていたことに驚かされます。
オスティの服が現在でも世界中のコレクターに支持され続けている理由は、単なる希少性ではありません。
服として見た時の構造的完成度。
素材と用途の組み合わせ方。
そして既存ジャンルに依存しない独自性。
その全てが高水準で成立しているからです。
こちらの一着も、まさにその感覚を体現したアーカイブピースと言えるでしょう。
単なるヴィンテージウェアとしてではなく、Massimo Ostiというデザイナーが何を作ろうとしていたのかを非常に明確に感じ取ることのできる一着です。
■size(cm)
表記サイズ:52
肩幅58/身幅68/着丈67/袖丈60.5
■textile
Shell:Wool100%
Lining:Viscose100%
■model
■condition
表地の一部にダメージがございます。
その他は画像をご確認下さいませ。
発送まで4日程度頂戴いたします。
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