本品は、マッシモ・オスティが手がけたBONEVILLE初期の実験精神を体現する一本。
オスティは1971年に"Chester Perry(のちの"C.P. COMPANY)"を立ち上げ、グラフィックと機能素材の融合、そして“ガーメントダイ”という革新を早くから実用化した人物です。
1982年には"STONE ISLAND"を創設し、トラック用ターポリンから着想した"TELA-STELLA(テラステラ)"を象徴素材として提示。
軍用・ワークの実用美をモダンウェアへ翻訳する彼の方法論は、以後のイタリアンスポーツウェアの基礎になりました。
"BONEVILLE"はその前後の1981年に始動した姉妹プロジェクトで、よりカジュアルな日常着にオスティの研究成果を落とし込むレーベル。
本作はまさにそのアーカイブを証明する実物資料です。

TELA-STELLAは高密度コットンに樹脂コーティングを施した堅牢なファブリック。
軽量でありながら摩耗に強く、洗いを重ねるたびにシワとパッカリングが立って陰影が深まります。
さらに特筆すべきはテラステラ特有の発色の良さ。
光の当たり方で濃淡が微細に揺れ、無地でありながら存在感は十分。同素材はSTONE ISLANDの誕生を決定づけた歴史的生地ですが、BONEVILLEのボトムスに採用される例は少なく、1983年製デッドストックという点でもコレクタブルです。

ディテールはオスティらしい“機能の論理”。
右腿には縦ジップとフラップを組み合わせたユーティリティポケット、後身頃は大ぶりのパッチポケットにBONEVILLEタブ。
メタルパーツやトリプルステッチの走り、シームの取り回しまで道具としての合理性が貫かれています。
シルエットは腰にゆとりを持たせつつ膝下は素直なストレート。
ブーツにもローテクスニーカーにも合わせやすいプロポーションで、トップスを選ばないのも魅力。

1980年代当時から続く“素材研究”の哲学は、いま着ても鮮度を失いません。
ハリの残るコーティングは着用と洗濯で徐々になじみ、縫い目や折り山にアタリが現れていく——色落ちではなく“質感が育つ”のがテラステラの醍醐味です。
C.P. COMPANYからSTONE ISLANDへと連なる系譜の只中に位置し、オスティの思考を日常着へ落とし込んだBONEVILLE。
その初期を物語る一本は、アーカイブとしても、実用のワードローブとしても価値十分。
強い発色と機能美——オスティの“服は実験である”という信念が、いまも確かな説得力で迫ってきます。

■textile
Shell:Cotton85% Copolymer15%

■model

■condition
デッドストックです。
その他は画像をご確認下さいませ。

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