1913年、マリオ・プラダがイタリア・ミラノにて皮革製品の専門店として創業した"PRADA(プラダ)"。
当初は王侯貴族や上流階級に向けた高級トランクや革小物を展開し、その卓越した品質と職人技術で高い評価を獲得しました。
その後、1978年にマリオの孫娘であるミウッチャ・プラダが経営を引き継ぐと、同ブランドはラグジュアリーとモダニズムを融合させた新たな方向性を確立。
ナイロン素材を用いた「ポコノ」シリーズをはじめ、機能性とファッション性を兼ね備えた革新的なプロダクトを次々と世に送り出し、90年代には世界を代表するファッションブランドとしての地位を不動のものとしました。

本作は、2011年春夏メンズライン「PRADA UOMO」のスタンドカラージャケット。
ブランドの得意とするミリタリーディテールをモダンに昇華させた一着であり、ユーティリティと洗練が高次元で調和した仕上がりとなっています。

素材にはポリエステル×コットンを使用。適度なハリ感と軽量性を併せ持ち、春夏シーズンに求められる快適な着用感を提供します。
マットな質感が特徴的で、光の加減で表情を変える奥行きのある生地感は、プラダらしい工業的かつ上品なムードを纏っています。

デザイン面では、フロントに配置された複数のポケットが目を引きます。
胸元のフラップポケットに加え、ウエスト部分にはジップ付きのポケットを備え、実用性とデザイン性を兼備。
スタンドカラー仕様は首元を端正に見せるだけでなく、ミリタリージャケットを想起させる武骨さを漂わせています。
さらに、ウエスト部分のギャザー仕様がシルエットに変化をもたらし、後ろ姿にも立体感を演出。
フォーマルとカジュアルの境界線を巧みに横断する、プラダらしいアプローチが際立ちます。

カラー僅かにネイビーを孕んだダークトーン。
都会的で落ち着いた雰囲気を持ちながらも、構築的なデザインと相まって存在感を放ちます。
シンプルなインナーと合わせるだけでスタイリングを引き締め、日常使いからモードなシーンまで幅広く対応。

2011SSというシーズン背景も見逃せません。この時期のプラダは、クラシカルな要素をミニマルに再構築する試みを多く行っており、本作にもその文脈が色濃く反映されています。
伝統的なワークやミリタリーの意匠をベースにしつつ、シルエットや素材選びによって「現代的な均整美」へと変換する手腕は、まさにプラダがファッション史に刻んだ革新性の証といえるでしょう。

総じて本ジャケットは、プラダの歴史的な革新と2010年代前半のコンセプチュアルなデザインを体現したプロダクト。
スタンドカラー、マルチポケット、ウエストシェイプといった要素が織りなす独自の構築美は、単なるアウターを超えた「現代的なユニフォーム」として機能します。
アーカイブとしての価値はもちろん、今なおリアルクローズとして日常に落とし込める汎用性を持つ点も魅力のひとつです。
プラダが築き上げてきた歴史と革新性を体感できる、2011SSならではの意匠をぜひご堪能ください。

■size(cm)
表記サイズ:52
肩幅49.5/身幅61.5/着丈79.5/袖丈69

■textile
Shell:Polyester70% Cotton30%

■model

■condition
肩から袖にかけてのアウトラインに褪色が見られます。
その他は画像をご確認下さいませ。

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