時間というものが物質に宿るとすれば、それは線や輪郭に最もよく現れるのかもしれません。
このブレスレットを目にしたとき、まず感じるのはその静謐な構造美。

装飾というよりも、むしろ"構成されたリズム"と呼ぶべき、繰り返される楕円の連なりが織りなす静かな波動が、まるで音楽のように腕元に寄り添います。

この作品の最大の特徴は、三本のチェーンで構成されている点。
線材は細身でありながら、しっかりとした張りを持ち、リンク同士は適度な間隔で連なりながらも、決して隙間を感じさせない緻密な設計。
サイズが大小異なるチェーンにより構成されながら、全体として非常にバランスの取れた、計算された美しさが宿っています。

視覚的にも極めてユニークな意匠。
ひとつのブレスレットが影を三重に落とし、光と陰のレイヤーが複雑に交差します。
単純なチェーンに見えて、角度を変えるたびに奥行きが現れ、幾何学的な構造が浮かび上がります。

また、ブレスレットとしての可動性や装着感にも特筆すべき点。
リンクは細かく、非常に柔らかく動くきますが、それでいて形状を保ち、腕に巻いたときに自然なドレープを描きます。
その佇まいは柔らかさと構築性のあいだにあり、まるで流体のように肌の上を流れながらも、その芯にはしっかりとした意志を感じさせます。
複雑極まる構造は非常に立体感があるため、全体が軽やかに見える反面、決して華奢には映りません。

このブレスレットは、装飾とは何か、構造とは何か、素材とは何かという問いに対して、静かに、しかし確かな答えを持っています。
豊潤な時代背景のなかで、名もなき職人によって生み出されたこの一本のチェーンは、半世紀以上の時を経てなお、凛とした佇まい。
変化し続ける時代の中で、変わらない価値とは何か。
その答えの一片が、このブレスレットに刻まれているのかもしれません。

■size(cm)
全長20.5

■textile
Shell:Silver 925

■condition
着用感はございますが、比較的綺麗な状態です。
その他は画像をご確認下さいませ。

発送まで4日程度頂戴いたします。

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