ひと目見ただけで感じられるのは、繊細な構築性と強い彫刻的印象の共存。
細かな2つのリングを取り巻くように、螺旋状のリングが重なり合うの構造をしている本品。
これは通常のチェーンリンクと大きく異なり、チェーン全体が立体的かつ複雑な表情を持つように設計されています。
リンクのひとつひとつがあたかも独立したオブジェのように感じられ、装飾品であると同時に、幾何学的な彫刻作品を身につけているかのような錯覚を感じる意匠。

そのデザインは単なる視覚的な装飾を超え、手にしたときにわかる触覚的な豊かさをも伴っています。
表面をなぞると指先に心地よい凹凸が感じられ、無機質な金属でありながら、植物の茎のような生命感すら想起させる表情。
リンク同士の接合は驚くほど滑らかで、着脱の際にも全体がしなやかに動き、巻き付き、流れるように形を変えます。
まるで静止していることを拒むかのような有機的な動きは、素材の選定と構造設計に対する深い理解とこだわりが反映された結果でしょう。

リンクの構造をよく見ると、内側の輪郭は比較的オーソドックスな楕円を描いています。
しかし、外周に巻き付いた螺旋細工がそれを不規則に囲み、光の反射を拡散し、見る角度によってまったく異なる表情を生み出します。
この"二重構造"とも言える設計によって、チェーン全体が静止した造形ではなく、常にどこかが揺らぎ、動いているように感じられます。
目には見えない振動が、静かに、そして確かに伝わってくるかのよう。

名もなきクラフトマンの手を離れ、半世紀を経てなお魅力を失わないのは、それが時代や流行に左右されない構造的な美を備えているからです。
巻き付く螺旋、重なる影、響き合うリンク。
そのすべてが計算され、そしてどこかで偶然を許容しているような余白。
完璧さではなく、完成の手前で留めたようなこの佇まいこそが、真に美しいと呼ぶべきものかもしれません。

装飾品とは、身につける人の感性と出会ったときに初めて完成します。
語りすぎず、しかし確かにそこにある。
視線を惹きつけ、感触を残し、記憶に刻まれる存在。
職人たちが生み出したこのチェーンは、今も静かに、しかし確かな声で語りかけてくることでしょう。

■size(cm)
全長21

■textile
Shell:Silver 925

■condition
使用感はございますが、比較的綺麗な状態です。
その他は画像をご確認下さいませ。

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