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ポコノナイロン——それは、1970年代にイタリア軍がパラシュートやテントの素材として用いた耐久性の高いナイロン生地を、ミウッチャ・プラダ女史がモードの文脈に取り込むことで新たな価値を得た素材。
耐水性と軽量性、そしてなによりも工業的でありながらどこか知的な雰囲気を持つその質感は、プラダのクリエイションを語る上で欠かすことができない存在です。
かつてラグジュアリーの定義がシルクやカシミアに偏っていた時代に、ミウッチャはこの工業素材に美の可能性を見出し、ファッションの常識を覆しました。
1980年代後半、バッグに始まったポコノナイロンの実験は、次第にウェアへと拡張されていきます。
その中でも90年代という時代は、PRADAが"知性あるミニマリズム"を体現し、ファッション界に革命を起こしていた時代。
まさにその空気感を如実に反映しています。
ブラック一色でまとめられたデザインは、視覚的な情報を削ぎ落とし、素材とシルエット、非対称的なポケットデザインに語らせる構成。
ミウッチャ・プラダ——本名マリア・ビアンカ・プラダ。
彼女はもともと政治学を専攻した知識人であり、1978年に祖父が創業したラグジュアリーメゾン"PRADA(プラダ)"の後継者として、突如としてファッションの世界に飛び込みました。
演劇とマルクス主義に親しんだ彼女の感性は、従来のラグジュアリー像に対する鋭い批評性を孕んでいました。
ポコノナイロンの起用は、その象徴的な一手。
美しさとは何か、高級とは何か——彼女の問いかけは、物質の質感やシルエットに託され、プラダをして"知性あるモード"の代名詞たらしめました。
本品はミウッチャ女史が打ち出した哲学の結晶。
素材への深い洞察と、過剰からの解放を指し示すモダンな記号。
ポコノナイロンの微細な光沢は、昼と夜の境界線のように曖昧でありながら、確かな存在感を放ちます。
無言のうちに語る——そうしたプラダ特有の静かな説得力が、このベストにも息づいています。
黒に映えるジップデザイン、縫製の緻密さ、ポケットの絶妙な配置。
どのディテールを取っても、そこには彼女が育んだ合理と美学の結節点が見出されます。
極めて実用的でありながら、それ以上にコンセプトが明確である点が、このアイテムを唯一無二たらしめている所以と言えるでしょう。
すべてが計算され、すべてが削ぎ落とされた先に、ただそこに在るという美。
その静けさの中に、着る人自身の思想とスタンスが浮かび上がっていく——それこそが、プラダというブランドが長年にわたり、モードの最前線であり続けた理由。
シャツの上から、ジャケットの上から、コートの上から、楽しみ方は着る人それぞれ。
ミウッチャ女史の哲学を体現した本品。
知性ある服として、如何様なコーディネートにおいても、静かに語りかけてくることでしょう。
■size(cm)
表記サイズ:XL
肩幅46/身幅55/着丈55
■textile
Shell:Nylon100%
Lining:Acetate69% × Nylon31%
■condition
とても綺麗な状態です。
その他は画像をご確認下さいませ。
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