ARNYS Forestière ― Appointment Only
60〜70年代頃のフレンチワークウェアは、単なる労働着として語るにはあまりにも美しい時代のプロダクトが多く存在します。
大量生産へ移行していく過渡期でありながら、合理性やコストだけでは片付けられない、どこか人の手の感覚が宿った空気が、この年代のフレンチワークには確かに存在しています。
こちらは、そんな時代背景を感じさせる一着。
フランスのワークブランド"L'ATHLETE"によって製作されたジャケットになります。
まず目を引くのは、この深みのあるカーキグリーンの色味でしょう。
フレンチワークといえば、インクブルーやフェードしたブルーモールスキンを想像される方が多いかと思いますが、こうしたミリタリーライクなカーキカラーは決して球数の多い存在ではありません。
しかし実際に袖を通すと、単純なミリタリーウェアとは全く異なる空気を持っていることに気付かされます。
ワークウェアとしての機能性を備えながらも、どこか都会的で洗練された印象がある。
それは、フランスの衣服特有の余白のある美しさによるものかもしれません。
前立てにはゴールドカラーのジップを採用。
4つポケットの構成はハンティングジャケットやユーティリティジャケットにも通じる実用的なディテールですが、全体のバランスは非常に端正です。
胸ポケットと腰ポケットの配置、やや低めに設定された重心、縦方向へ流れるジップライン。
それらが合わさることで、ワークウェアでありながら品の良さを形成しています。
特に印象的なのはシルエットです。
一般的なフレンチワークに見られる丸みのある柔らかなAラインというよりも、この個体は比較的シャープな輪郭を持っています。
肩線は素直に落ち、身幅は過度に広すぎない。
着丈とのバランスも良く、着用時に非常に整った縦のラインが生まれます。
フランスのワークウェアは、実用品でありながら街で着ることを前提としていたような感覚を持つ個体がありますが、このジャケットはまさにその空気感を備えています。
生地にはコットンツイルを使用。
デッドストックならではの硬質な張り感が残っており、まだ身体に馴染んでいない状態です。
そのため現状では、生地が自立するような立体感があり、光を受けた際の陰影も非常に美しい。
斜めに走るツイルの綾目は細かく、フレンチワーク特有のしなやかさも感じられます。
アメリカの無骨なワークツイルとは異なり、どこか繊細で上品な表情を持っているのも魅力です。
そして、この個体を語る上で欠かせないのがボタンでしょう。
使用されているのは、40年代頃のアメリカ軍に見られる"13 STAR"を彷彿とさせるメタルボタン。
本来であればUS ARMYやUSMCなど、アメリカンミリタリーの文脈で語られることの多いディテールですが、フレンチワークでは稀にこうしたボタンが使用される個体が存在します。
フランス製ワークウェアの中に溶け込む、アメリカ軍由来を思わせるパーツ。
この時代特有の大らかさというべきか、国やカテゴリーを超えて実用性が優先されていた当時の空気を感じさせるディテールです。
しかも、このボタンが単なる装飾ではなく、カーキのボディカラーと非常に相性が良い。
軍物的な要素を持ちながら、あくまでフレンチワークとして成立しているバランス感覚は実に秀逸です。
着込まれることで皺が刻まれ、ツイルが柔らかくなり、カーキが少しずつ褪色していく。
ゴールドジップは鈍く光り、ボタンには細かな傷が増えていく。
そうして初めて、この服は持ち主の生活と一体化していくのでしょう。
デッドストックという完璧な状態でありながら、この服の本当の魅力は、むしろここから始まる経年変化にあります。
フレンチワーク、ミリタリー、ユーティリティ。
それぞれの文脈を内包しながらも、どれか一つに限定されない曖昧さ。
その曖昧さこそが、このジャケットを単なる作業着で終わらせない理由なのだと思います。
無骨で、それでいてどこか洗練されている。
フランスの古いワークウェアが持つ独特の美意識を、非常に純粋な形で感じていただける一着です。
■size(cm)
表記サイズ:表記なし
肩幅48/身幅57/着丈75/袖丈69.5
■textile
Shell:Cotton100%
■model
■condition
デッドストックです。
その他は画像をご確認ください。
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