ARNYS Forestière ― Appointment Only
1990年代の"EMPORIO ARMANI(エンポリオ・アルマーニ)"より、ウール、シルク、レーヨン、ナイロンを混紡した表情豊かなツイード生地を使用したハーフジッププルオーバーシャツ。
ジョルジオ・アルマーニが1981年に設立したEMPORIO ARMANIは、伝統的なテーラリングの概念をより自由な日常着へと発展させ、素材の研究や独創的なパターンワークを通じて、イタリアンファッションに新たな価値観を提示してきました。なかでも1990年代は、身体の輪郭を過度に強調しない流動的なシルエットや、素材そのものの個性を生かした構築的なデザインが際立つ時代。本作はそうしたアルマーニの美学を色濃く反映した一着であり、シャツという普遍的な衣服の形式に、ニットウェアのような柔軟性と前衛的な造形感覚を融合させています。
特筆すべきは、複数の異なる繊維を組み合わせることで生み出された、奥行きのあるメランジ調のツイード生地です。
ウールの持つ自然な膨らみと温かみを基調に、シルク特有の繊細な光沢、レーヨンの柔らかな落ち感、ナイロンによる適度な強度を組み合わせた構成。黒、グレー、白に近い色調の糸が複雑に交錯し、遠目には落ち着いたチャコールグレーでありながら、近づくほどに細かな色彩の重なりが浮かび上がります。生地表面には細かなループや節のような不規則な起伏が見られ、一般的な平織りのシャツ地とは一線を画す立体的な質感を形成。光を均一に反射するのではなく、繊維それぞれの性質によって微細な陰影が生まれることで、無彩色でありながら単調さを感じさせない豊かな表情に仕上げられています。素材の組み合わせによって得られる柔らかなドレープも特徴で、身体の動きに応じて生地が自然に揺れ、着用時のシルエットに独特の余韻を残します。
デザインは、クラシカルなシャツカラーとハーフジップ仕様を組み合わせたプルオーバー型。襟には適度な大きさと柔らかさを持たせ、一般的なドレスシャツのような硬質な構造を避けることで、素材の質感と調和する自然な首元を形成しています。フロント中央には金属製ファスナーを配置し、開閉によって襟の表情を変化させられる設計。装飾的な要素を最小限に抑えた構成だからこそ、ジップの直線的な存在感と、ツイード生地の不規則な質感との対比が際立ちます。
肩は大きく落としたドロップショルダーとなっており、身幅にも十分なゆとりを確保。袖はゆったりとした筒状の輪郭を描き、袖口に設けられたカフスによって柔らかなボリュームを収束させています。大きく設計された身頃は身体から適度に離れることで、生地が持つ自然な落ち感を生かし、着用者の体格に過度に依存しない流動的なシルエットを生み出しています。
全体の構成は、オーソドックスなシャツの仕様を踏襲した端正な仕立て。フロントから裾にかけて余計な装飾を設けず、シンプルな構造に徹することで、素材そのものの豊かな表情を際立たせています。ゆとりを持たせた身幅と自然に落ちる肩のラインが、オーバーサイズでありながらも過度な重厚感を感じさせないシルエットを形成。裾には緩やかなラウンドを取り入れ、柔らかな生地の落ち感と相まって、身体の動きに沿った自然な輪郭を描きます。伝統的なシャツの構造を基盤としながら、素材の選択と分量の取り方によって新たな表情を生み出す、アルマーニらしい洗練されたデザインです。
本作は当時のブランドタグに加え、EMPORIO ARMANIのオリジナルペーパータグを残したデッドストックコンディション。1990年代のイタリア製という背景も含め、当時の素材開発やデザインへの姿勢を感じ取ることのできる個体です。
テーラリングを出発点としながら、その既成概念にとらわれることなく、素材と造形の可能性を追求していた時代のEMPORIO ARMANI。
繊細な織りの表情、身体を包み込むようなオーバーサイズの設計含め、同ブランドならではの美意識を体現する一着です。
■size(cm)
表記サイズ:52
肩幅56.5/身幅68/着丈91/袖丈69
■textile
Shell:Wool36% Silk31% Rayon23% Nylon10%
■model
■condition
デッドストックです。
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