ARNYS Forestière ― Appointment Only
イタリアのニットウェアメーカー"ROBERTO COLLINA(ロベルト・コリーナ)"より、異なる質感を持つ素材を大胆に切り替えたダブルジップジャケット。
ブランドが長年培ってきたニットウェアの技術をベースとしながら、フロントには加工を施したコットンの布帛を組み合わせた、ROBERTO COLLINAの中でもデザイン性に富んだ一着です。
ROBERTO COLLINAのルーツは、イタリア・ボローニャ近郊のクレヴァルコーレで営まれていたニット工房にあります。1950年代からニットウェアの生産技術を蓄積し、やがてイタリアを代表するファッションハウスの第三者生産も請け負うファクトリーへと成長。1980年代初頭にはRoberto Collinaの名を冠したコレクションを発表し、自社ブランドとしての展開を本格化させました。
PRADAをはじめとするラグジュアリーブランドのニット生産にも携わってきたとされ、単なるファッションブランドというよりも、イタリアの高度なニット産業を背景に持つメーカーとして捉えることのできる存在です。
本品は、そうしたブランドの技術的背景を感じさせながら、一般的なニットウェアとは異なるアプローチを採用した一着。
最も印象的なのはフロントの素材使いです。前身頃の大部分にはブラウンとグレーの中間のような鈍い色調を持つコットンの布帛を使用。細かな綾目が確認できる生地の表面には、顔料染め、あるいは顔料を用いたコーティングを思わせる加工が施されており、通常のコットンツイルとは明らかに異なる乾いた質感を見せています。
均一に染め上げるのではなく、表面には濃淡や擦れたような表情が残り、部分によって光の反射も微妙に変化します。
新品の状態から完成された均質な表情を求めるのではなく、着用や摩擦によって生じる変化そのものをデザインへ取り込んだような素材感です。
一方、襟、袖、背面にはブラックのコットンニットを配置。フロントの乾いた加工感に対して、ニット部分は柔らかく滑らか。その質感の違いが同じ一着の中で明確なコントラストを生み出しています。
正面から見ると加工された布帛が大部分を占めるため、ワークウェアやミリタリーウェアにも通じる無骨な印象がありますが、横から背面へ視線を移すと一転してニットウェアらしい柔らかな表情へ変化します。
単に異素材を装飾として貼り合わせるのではなく、前身頃とそれ以外のパーツを大きく二分することで、ジャケットとニットカーディガンの中間のような構造を作り上げている点が特徴です。
襟は高さを抑えたスタンドカラー。シャツカラーほどクラシックにならず、スポーツジャケットのような軽快さを持たせています。ジップを上まで閉じれば首元がコンパクトに収まり、少し開けば自然に襟が倒れ、異なる表情を楽しめます。
フロントにはメタル製のダブルジップを採用。上下双方から開閉できる仕様のため、裾側だけを開いてシルエットを調整することも可能です。
特に本品のような直線的なシルエットでは、下側のジップを数センチ開けるだけでも腰回りの収まり方が変化します。インナーを覗かせながら着用することもでき、単なる機能部品に留まらず、スタイリングを構成するディテールとして機能しています。
金属製のジップと、加工感の強いフロント生地との相性も非常に良く、ミニマルなデザインの中に適度な工業的要素を加えています。
そして本品の面白さは、背面を見ることでより明確になります。
バックスタイルはほぼ全面をブラックのニットで構成。フロントに見られる加工生地は使用されず、非常に簡潔な一枚のニットウェアとして仕上げられています。
袖も同じブラックで統一されているため、正面と背面では服そのものの印象が大きく変化します。
また、袖口や裾に一般的なブルゾンのような強いリブを設けていない点も特徴的です。身体を締め付けるスポーティーなシルエットではなく、裾まで比較的素直に落ちる直線的なライン。ニットの柔らかさを残しながら、ジャケットとして成立する端正な輪郭が作られています。
装飾的なロゴやワッペンなどは一切ありません。
ブランドを主張するのは襟裏に取り付けられた小さな"ROBERTO COLLINA"のタグのみ。
それでも、異素材の選択、加工された表面、パーツごとの切り替え、ダブルジップといった要素によって、十分な個性が生まれています。
ニットを専門としてきたROBERTO COLLINAだからこそ、布帛を主役にしながらもニットを単なる付属素材として扱わず、それぞれの性質を活かしながら一枚の服へまとめ上げています。
2000年代のイタリアンデザイナーズウェアには、スポーツウェアやワークウェアの構造をベースに、素材加工によってラグジュアリーへと昇華したプロダクトが数多く見られます。本品もそうした時代性を感じさせる一着。
加工されたフロントと、深いブラックのニットとの組み合わせは主張が強すぎず、それでいて一般的なニットブルゾンとは明確に異なる存在感があります。
スラックスと合わせれば端正に、色落ちしたデニムやワークパンツと合わせれば加工生地の表情がより強調されるでしょう。
カーディガンのような気軽さと、ジップジャケットとしての構築性。
そしてファクトリーとして長い歴史を持つROBERTO COLLINAならではのニット使い。
ブランドの得意とする領域を軸にしながら、異素材と表面加工によってデザインの幅を広げた、2000年代らしい実験性を感じていただける一着です。
■size(cm)
表記サイズ:表記なし
肩幅48/身幅55/着丈64/袖丈64
■textile
Shell:Cotton100%
■model
■condition
全体的に着用感がございます。
その他は画像をご確認下さいませ。
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