ARNYS Forestière ― Appointment Only
一見すると非常にシンプルなブルーシャツですが、その背景を知ることで一気に特別な一枚に見えてくるSulkaのシャツ。
SULKAは1893年、ニューヨークでシャツメーカーとしてスタートし、その後ニューヨークを代表する高級メンズウェアの店へと発展していきました。1920年代初頭には5番街へと拠点を移し、さらにロンドンのオールド・ボンド・ストリートやパリにも店舗を構えるなど、アメリカ生まれでありながらヨーロッパの上質なテーラリング文化とも深く結びついていった存在です。
SULKAが特に評価されていたのが、仕立ての良いシャツとシルク製品。ネクタイやスカーフ、ローブなどにも上質な素材を惜しみなく使用し、当時の洗練された男性たちにとって憧れのハブァダッシャーとして知られていました。
顧客にはデューク・オブ・ウィンザーやクラーク・ゲーブルといった名前も挙げられており、単なる既製服ブランドというよりも、かつてのニューヨークを代表するラグジュアリーなシャツメーカーとしての歴史を持っています。
そんなSULKAのシャツを見ていて面白いのが、決して大きなロゴや派手なデザインでブランドを主張しないところ。むしろ、生地の質感や襟の形、縫製、ボタンといった細かな部分の積み重ねによって、その品の良さを表現しています。
今回の一着もまさにその典型です。
淡いブルーの生地は、一見すると無地に見えながら、近くで見ると非常に細かな織りの表情が浮かび上がる繊細なファブリック。単純なブロードクロスのような平面的なブルーではなく、細かな凹凸と織りによって奥行きが生まれており、光の当たり方によって柔らかく表情が変わります。
こうした淡いブルーはドレスシャツとしても非常に古典的な色ですが、SULKAのシャツになると、そこに少しだけヴィンテージらしい空気が加わります。真っ白なシャツほど堅くならず、かといってカジュアルになりすぎることもない。ジャケットの下に入れたときには非常に端正にまとまり、デニムやチノと合わせれば、少し力の抜けたクラシックスタイルにも落とし込めます。
襟も非常にオーセンティック。大きすぎず、小さすぎず、ネクタイを合わせても、第一ボタンを開けてラフに着ても成立するバランスで、現代のシャツにはない昔ながらの品の良さがあります。
そして何より面白いのが、現在ではSULKAという名前そのものを知る人が決して多くないこと。1980年に会社が売却され、その後いくつかの所有者を経たのち、1990年代にはVendômeの傘下となりましたが、店舗は2001年から2002年にかけて閉店していきました。現在では失われてしまったブランドだからこそ、こうして当時のシャツが残っていること自体にもヴィンテージとしての面白さがあります。
派手なデザインではありませんが、シャツを専門とするところから始まり、ニューヨーク、ロンドン、パリへと広がっていったSULKAの歴史を考えると、この一枚の端正さにも納得がいきます。
淡いブルーの繊細な生地、クラシックな襟、控えめな白いボタン。
一見するとただの上品なブルーシャツ。
しかし、その背景には1893年から続いたアメリカの老舗シャツメーカーとしての歴史と、かつて世界の洒落者たちを魅了したSULKAの美意識があります。
流行を追うためのシャツではなく、何年経ってもワードローブに残しておきたいシャツ。
こうした「知る人ぞ知る」ヴィンテージを日常着として楽しめるのも、古いSULKAを選ぶ面白さのひとつです。
■size(cm)
表記サイズ:34, 15 1/2
肩幅48.5/身幅60/着丈83.5/袖丈63.5
■textile
Shell:Cotton100%
■model
■condition
襟周り等着用感がございます。
その他は画像をご確認下さいませ。
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