ARNYS Forestière ― Appointment Only
1846年、スペイン・マドリードで複数の革職人が立ち上げた工房を起源とする"LOEWE(ロエベ)"。
現在ではファッションメゾンとして広く知られていますが、その歴史を遡れば、出発点にあるのは一貫して革製品です。当初の工房では財布や小物入れなどを製作し、1872年にドイツ出身の革職人Enrique Loewe Roessbergが加わったことで、後のLOEWEへと発展。1892年にはマドリードのプリンシペ通りに店舗兼工房を構え、バッグを含む本格的な革製品の製作を進めていきます。さらに1905年にはスペイン王室御用達の称号を得るなど、20世紀初頭にはスペインを代表するレザーメゾンとしての立場を確立していました。
そんなLOEWEの原点である革を、非常に簡潔な形で楽しめるヴィンテージのトートバッグ。
装飾を極力取り除いた縦長のボディに、短めの2本のハンドル。正面中央には小さくアナグラムが型押しされています。
このアナグラムは、スペイン人デザイナーVicente Velaによって1970年に制作されたもの。4つの"L"を組み合わせた意匠で、LOEWEが上質な革を識別するために用いていた焼印から着想を得たとされています。現在ではブランドを象徴するモチーフですが、本品では金具や大きなプリントとして主張させるのではなく、スエードそのものを押し込むように刻印。光の当たり方によって僅かに浮かび上がる程度に留められています。
ボディに使用されているのは、毛足を細かく整えたダークブラウンのスエード。一見すると単色ですが、実際には毛並みの方向によって濃淡が変化し、黒に近い焦茶から、赤みを含んだブラウンまで複雑な表情を見せます。
ハンドルと開口部周辺にはスムースレザーを使用。柔らかなスエードだけで全体を構成せず、負荷のかかりやすい部分をより密度のあるレザーへ切り替えることで、バッグとして必要な強度を確保しています。ハンドルは細身ながら芯のあるつくりで、両端を長方形状に縫い留めた極めて簡潔な仕様。
横方向に広い一般的なトートとは異なり、かなり縦を強調したレクタンギュラー型。底までほぼ直線的に落ちるボディで、マチを大きく取って立体感を出すというより、一枚の革の面積そのものを見せるような構成です。
そのため、正面から見た印象はバッグというよりも大きな革のパネルに近いです。
中央のアナグラム以外には、目立つ金具も外ポケットも装飾的な切り替えもありません。スエードの色、毛足、経年による濃淡が、そのままデザインになっています。
開口部も比較的簡潔ですが、内側にはスナップボタンを備えているため、口元を一点で留めることができます。内側のスムースレザーには"LOEWE"の刻印。外側ではアナグラム、内側ではブランドネームという控えめな配置です。
華美な金具も、大きなブランドネームもありません。
ダークブラウンのスエード、細いレザーハンドル、そして中央に型押しされた小さなアナグラム。
LOEWEが長く培ってきた革製品としての背景を、極めて簡潔な縦型トートに落とし込んだ一品です。
■size(cm)
表記サイズ:表記なし
縦32/横31.5/ハンドル27
■textile
Shell:Leather
■model
■condition
全体的に使用感がございます。
その他は画像をご確認下さいませ。
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