OLD "HERMÈS" Carré 90 Silk Scarf Made in FRANCE — "Vue du Carrosse de la Galère la Réale" (Designed by Hugo Grygkar / First Issue in 1953)

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"HERMÈS(エルメス)"を象徴するプロダクトのひとつ、"Carré(カレ)"。
フランス語で「正方形」を意味するその名の通り、1937年に誕生したシルクスカーフは、単なる服飾小物という枠を越え、エルメスが長い年月をかけて培ってきた色彩、プリント、歴史、そして物語性を一枚の正方形へ凝縮した存在です。

今回ご紹介するのは、約90cm四方の最も象徴的なサイズである"Carré 90"。

作品名は"VUE DU CARROSSE DE LA GALÈRE LA RÉALE(クイーンの戴冠式)"。
デザインを手掛けたのは、エルメス初期のカレを語るうえで欠かすことのできないデザイナー、Hugo Grygkar(ユーゴ・グリッカー)。本作は1953年に初めて発表された作品として知られ、その後も再版されてきた、カレのアーカイブを代表するクラシックのひとつです。

描かれているのは、17世紀フランスにおいて王権を象徴する存在でもあったガレー船、"La Réale(ラ・レアル)"。
La Réaleとは、ルイ14世時代のフランス王国でガレー船団の司令官が使用した旗艦を指し、王家を示す百合紋章を纏った極めて華美な船として知られています。本作はパリの国立海洋博物館に収蔵される船舶模型から着想を得たとされ、ユーゴ・グリッカーは、その壮麗な船尾部分を正面から捉えるように一枚のシルクへ描き出しました。

タイトルにある"Carrosse"は「馬車」を意味する言葉。
このスカーフを眺めると、その言葉が使われた理由もよく分かります。
画面中央にそびえる船尾は、単なる船舶の構造物というより、巨大な王室の馬車や宮殿建築を思わせるほど装飾的。彫刻、王冠、人物像、フルール・ド・リス、欄干、天幕、タッセルといった要素が幾重にも重なり、船そのものが一つの巨大な装飾芸術として描かれています。
とりわけ目を奪われるのが、中央を占める船尾装飾です。上部には無数の人物像が密集し、その下には左右対称に配された女性像。さらに中央には王冠を戴く意匠が置かれ、船体部分にはフランス王家を象徴するフルール・ド・リスが散りばめられています。
実際のLa Réaleも、単なる軍船としてではなく、フランス王権の威光を海上で可視化する存在でした。船尾には彫刻や金彩をはじめとする豪華な装飾が施され、太陽王ルイ14世の時代らしい壮麗さを備えていたとされています。
その圧倒的な装飾性を、グリッカーは真正面に近い構図で切り取っています。あえて船尾を大きく画面中央へ配置することで、一見すると「船」を描いたスカーフであることすら忘れてしまうほど、左右対称で建築的なグラフィックへと変換されています。
中央を一本の垂直線が貫き、左右へ船体、階段、欄干、人物像、天幕が展開する。
90cm四方まで視点を引けば、まるで巨大な紋章のようにも見えてきます。

一方、近づいて眺めると世界は一変します。甲板には当時の服装を纏った船員たちが立ち、船尾を囲う布にはフリンジが付き、欄干の一本一本、ロープ、タッセル、彫刻の表情に至るまで細かな線によって描き込まれている。グリッカーのカレに見られる魅力のひとつが、この「遠景では強い構図、近景では膨大な情報量」という二重性です。

本品では、それが非常に分かりやすく表れています。さらに周囲にはフルール・ド・リス(ユリの花)を規則的に配置。四隅にはロープやタッセル、装飾柱を描き、中央の巨大な船尾を囲うようにフリンジ状のフレームが設けられています。つまり、実際にはシルクへプリントされた平面の絵柄でありながら、あたかも一枚の豪華なタペストリーを広げているように見えるわけです。
「布の上に、さらに別の布を描く」。
エルメスのカレではしばしば見られる視覚的な遊びですが、本作では船を覆う天幕やフリンジ、ロープ、タッセルとスカーフそのものの四角い構造が巧みに重なり、非常に完成度の高い一枚となっています。

そして、この個体を特に魅力的にしているのが、その抑制されたカラーリングです。ベースとなるのは柔らかなエクリュ。そこへサンドベージュ、淡いゴールド、くすんだオレンジ、グレージュ、オリーブを思わせる深いグリーンが重なります。
本来であれば極めて華美な題材ですが、鮮烈な原色を抑えたことで、装飾性だけが前へ出過ぎません。むしろ古い建築図面や博物図譜、あるいは経年したタペストリーを思わせる落ち着いた表情があります。
中央の船体に用いられた深いグリーンが全体の重心となり、その周囲をベージュからゴールド系の色彩が包み込む。さらに背景の淡いブルーグレーが僅かな抜けを作ることで、同系色中心でありながら平坦には見えません。
非常にエルメスらしい色の組み立てです。

広げた状態では、一枚の歴史画や装飾画として成立します。
しかしカレの面白さは、やはり身につけた際にあります。
首元へ巻けば巨大な船の全貌は消え、フルール・ド・リス、ロープ、タッセル、船体のグリーン、人物の一部といった断片だけが現れる。
ジャケットやコートの襟元へ差し込めば、もはや船を描いたスカーフとは分からず、ベージュ、オリーブ、ゴールドを中心とした複雑な抽象柄のようにも映ります。
特にこのカラーは、ネイビー、ブラウン、ベージュ、オリーブ、チャコールといったメンズウェアの基本色との相性が非常に良いでしょう。ヴィンテージのツイードジャケットやカシミヤコートはもちろん、シンプルなシャツやニットへ合わせても過剰になりません。

素材はエルメスのカレを象徴するシルクツイル。斜め方向に細かな畝を持つツイル組織には適度な厚みとハリがあり、グリッカーによる細密な線を受け止めながら、身につければ柔らかなドレープを作ります。
また、縁にはカレらしいロール状の仕上げが施され、スカーフの輪郭に僅かな立体感を与えています。

馬具工房から始まったエルメスが、船という全く異なる題材を扱いながら、ロープ、タッセル、紋章、布、金具、人物、建築的装飾を通して、最終的には極めてエルメスらしい一枚へとまとめ上げる。
約90cm四方という限られた空間の中に、17世紀フランスの王権、海洋史、装飾芸術、そして20世紀のエルメスによるプリント技術が重なっています。
身につけるためのスカーフであると同時に、広げて眺める時間そのものを楽しみたくなるCarré 90。
Hugo Grygkarによるエルメス初期の名作、"Vue du Carrosse de la Galère la Réale"です。

■size(cm)
表記サイズ:90

■textile
Shell:Silk100%

■model

■condition
使用感がございますが、比較的綺麗な状態です。
その他は画像をご確認下さいませ。

発送まで4日程度頂戴いたします。

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※神経質な方のご購入はご遠慮ください。
※NCNR、ビンテージやアンティークにご理解のある方のみご購入下さい。

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