ARNYS Forestière ― Appointment Only
1961年、André Courrèges(アンドレ・クレージュ)が自身の名を冠してスタートした"Courrèges(クレージュ)"。
Balenciaga(バレンシアガ)で研鑽を積んだ彼は、当時のオートクチュールが持っていた装飾性や伝統的なエレガンスとは異なる方向を見据えていました。
建築的なカッティング。
幾何学的なライン。
そして、"未来"を衣服として提示する感覚。
1960年代のCourrègesは、単なるファッションブランドではありませんでした。
宇宙開発競争が加速し、人類が月へ向かっていた時代背景の中で、Courrègesはこれからの生活のための服を構想していたブランドです。
白を基調としたミニマルな色彩設計。
機能性を伴った構築的なフォルム。
過剰な装飾を削ぎ落としたモダニズム。
それらは後のPrada SportやHelmut Lang、Jil Sander的な都市服の価値観にも通じる、極めて先進的なアプローチでした。
その流れの中で展開されていたメンズライン、"courrèges homme(クレージュ・オム)"。
こちらは同ラインにて90年代頃に製造された、デッドストックのストライプシャツです。
一見すると非常にプレーンなレギュラーカラーシャツ。
しかし実際に触れ、着用すると、このブランドが単純なドレスシャツを作っていなかったことがよく分かります。
まず印象的なのは、この柔らかなイエローベージュのストライプ。
クラシックな銀行員的ストライプでもなければ、イタリア的な色気を強調した配色でもありません。
どこか工業製品のような均整感がありながら、光の当たり方によってわずかに表情を変える、非常に洗練された色設計です。
Courrègesというブランドは、60年代当時から"白"を重要な色として扱っていましたが、その延長線上にあるような、清潔感と人工的な美しさを感じさせる配色と言えるでしょう。
さらに面白いのは、生地構成。
コットン×ポリエステルによる混紡素材が採用されています。
現在では当たり前になった素材構成ですが、Courrègesの文脈で見ると、これは非常にブランドらしい選択です。
天然素材だけを絶対視するのではなく、当時の"新素材"に価値を見出していたブランドだからこそ、こうした化繊混のシャツにも強い説得力があります。
実際、生地には独特の滑らかさと微かな光沢感があり、通常のコットンブロードとは異なる空気を纏っています。
乾いたタッチでありながら、表面にはわずかな反射が生まれる。
そのため、単なるベーシックシャツには見えず、どこか都会的な印象へ変換されています。
また、この素材はシワへの耐性も高く、日常着として非常に合理的。
90年代以降、多くのメゾンが日常で機能するラグジュアリーへ向かっていく中で、このシャツもまた、その流れの中に存在していたことが分かります。
パターンも非常に完成度が高い。
肩周りは比較的フラットに設計されており、アームも過度に細くはない。
しかし単純なボックスシルエットではなく、着用すると身体に沿うように自然な立体感が生まれます。
特に横から見た際のラインが美しく、背面のタックによって運動量を確保しながら、生地が滑らかに落ちる設計になっています。
90年代のシャツらしい適度なゆとりを持ちながら、80年代的な誇張はなく、2000年代以降の極端なスリムフィットとも異なる。
このどちらにも寄り過ぎていないバランス感覚が非常に秀逸です。
襟型も特徴的で、やや長さを持たせたレギュラーカラー。
鋭さはありつつも過度に尖っておらず、ネクタイを締めても、開けて着ても成立する絶妙な設計です。
カフスも大ぶり過ぎず、小さ過ぎない。
ドレスと日常着、その中間を狙ったようなサイズバランスで統一されています。
胸ポケットの形状も実に綺麗。
角を僅かに落としたシンプルなパッチポケットですが、ストライプの柄合わせも丁寧で、非常に端正な印象に仕上げられています。
そして袖口には、courrèges hommeのロゴ刺繍。
極めて控えめなディテールですが、このブランドらしい未来的なグラフィック感覚がしっかり残されています。
こうしたロゴの扱い方にも、Courrèges特有の美意識が感じられます。
主張ではなく、あくまで構造の一部として存在している。
タグデザインにも同様の感覚があり、90年代特有のデジタル的タイポグラフィがどこかテクニカルウェア的にも見えるのが興味深いところです。
また、このシャツが優れているのは、"古さ"を感じさせにくい点にもあります。
90年代のアーカイブシャツは、時にシルエットや色柄が強く時代性を帯びていることがありますが、こちらは極めてニュートラル。
スラックスと合わせれば品良くまとまり、デニムやレザーとも自然に馴染む。
テーラードのインナーとしても成立しますし、春夏には一枚で十分な存在感があります。
特にブラックレザーやチャコール系ウールとの相性は抜群で、このイエローベージュのストライプが、装い全体に柔らかな光を差し込むような役割を果たしてくれます。
Courrègesというブランドは、歴史の中でしばしば"スペーシー"や"未来的"という言葉で語られてきました。
しかし本質的な魅力は、未来を誇張して見せることではなく、生活の中に自然に溶け込む新しさを衣服として成立させていた点にあります。
こちらのシャツもまさにそうした一着。
派手さではなく、整った線。
過剰な装飾ではなく、素材と構造による美しさ。
そして、着た時に初めて分かる、匿名的で洗練された空気感。
90年代のcourrèges hommeが持っていた魅力を、非常に純度高く体感できるプロダクトです。
■size(cm)
表記サイズ:39
肩幅49/身幅59.5/着丈78.5/袖丈66
■textile
Shell:Cotton75% Polyester25%
■model
176cm
■condition
デッドストックです。
その他は画像をご確認下さいませ。
発送まで4日程度頂戴いたします。
【必ずオンラインサイト下部の特定商取引法に基づく表記をお読みになってからご購入ください。】
※神経質な方のご購入はご遠慮ください。
※NCNR、ビンテージやアンティークにご理解のある方のみご購入下さい。
新商品やキャンペーンなどの最新情報をお届けいたします。