ARNYS Forestière ― Appointment Only
2000年代初頭、"GUCCI(グッチ)"が再び世界の頂点へと駆け上がった時代。
その中心にいたのが、当時クリエイティブディレクターを務めていたTom Ford(トム・フォード)です。
官能と緊張感を併せ持つスタイルでメゾンのイメージを一新し、ラグジュアリーに新たな価値観を提示した彼の仕事は、現在においてもなお色褪せることがありません。
クラシックを踏まえながらも、時代の空気を鋭く掬い上げるその手腕は、単なるデザインの枠を超え、一つの美意識として確立されています。
本作は、2001年秋冬コレクションにて発表されたコットンベイカートラウザーズ。
Tom Ford期のGUCCIにおいて顕著に見られる「ミリタリーの再解釈」という文脈の中で生まれた一本です。
ミリタリーにおけるベイカーパンツをベースとしながらも、そのままの無骨さに留まることなく、あくまでラグジュアリーのフィルターを通して再構築されている点に、このプロダクトの本質があります。
まず目を引くのは、生地に用いられたコットンクロスの質感。
中程度の厚みを持ち、表面にはほのかな光沢が宿り、光の当たり方によって繊細に表情を変化させます。
無骨なミリタリーパンツに見られるマットで乾いた質感とは異なり、どこか湿度を帯びたような、しっとりとした艶。
その質感が、軍由来の機能服に"品"という要素を付与しています。
色味もまた絶妙で、グレイッシュなオリーブトーンが落ち着いた印象を与えつつ、スタイリングに奥行きをもたらすニュアンスカラーとして機能します。
ディテールに目を移すと、フロントにはベイカーパンツ特有のパッチポケットが配されており、その存在がデザインの骨格を形成しています。
しかしながら、その配置やサイズ感、そして縫製の精度に至るまで、すべてが極めて端正に整えられており、ワークウェアに見られる粗野な印象は感じられません。
むしろ、ミニマルで洗練された印象さえ受ける仕上がりです。
対照的に、バックポケット片側は両玉縁仕様。
ここにTom Fordの美学が色濃く表れています。通常のベイカーパンツであればフラップポケットやパッチポケットが用いられるところを、あえてドレス的な仕様へと置き換えることで、全体の印象を一段引き締めています。
この前後のコントラストが、単なるミリタリーリプロダクトでは終わらない、GUCCIらしいエレガンスを生み出しています。
シルエットは、細すぎず太すぎない絶妙なテーパードライン。
腿周りには程よいゆとりを持たせながら、裾にかけて自然に絞られていく設計は、着用時に非常に美しいラインを描きます。
過度な主張はないものの、身体に沿うようなフィッティングはTom Fordらしい色気を感じさせ、シンプルな装いであってもどこか艶やかな印象を残します。
また、フロントはボタンフライ仕様。
刻印入りのボタンや、内側の丁寧な仕立てからも、この時代のGUCCIがいかに細部まで意識を行き届かせていたかが伝わってきます。
見えない部分にこそ宿るクオリティは、長く付き合う衣服において非常に重要な要素であり、本作も例外ではありません。
このトラウザーズは、いわゆる"ミリタリー"という枠に収まりきらない存在です。
ワークや軍物の文脈を起点としながらも、それを都会的で洗練されたプロダクトへと昇華させる。
その過程において削ぎ落とされるべきものは削ぎ落とし、残すべき要素は丁寧に磨き上げる。
そのバランス感覚こそが、Tom Ford期GUCCIの真骨頂であり、本作にも確かに息づいています。
無骨さと上品さ、機能と美意識。
その両極を静かに往復するような一本。
日常の装いに取り入れることで、過度に語ることなく、しかし確かな存在感を放つでしょう。
クラシックでありながら、どこか現代的。
そんな矛盾を内包した佇まいは、今改めて新鮮に映ります。
時代を超えてなお価値を持ち続ける衣服とは何か。
その一つの答えが、このトラウザーズにはあるように思います。
■size(cm)
表記サイズ:46
ウエスト80/裾幅18/股上25/股下80.5/総丈105.5
■textile
Shell:Cotton100%
■model
■condition
綺麗な状態です。
その他は画像をご確認下さいませ。
発送まで4日程度頂戴いたします。
【必ずオンラインサイト下部の特定商取引法に基づく表記をお読みになってからご購入ください。】
※神経質な方のご購入はご遠慮ください。
※NCNR、ビンテージやアンティークにご理解のある方のみご購入下さい。
新商品やキャンペーンなどの最新情報をお届けいたします。