1952年にフランス・グルノーブルで創業したMONCLERは、登山家や極地探検隊のための装備をルーツに持つブランドです。90年代後半から2000年代初頭にかけては、現在のラグジュアリーイメージが確立される以前、純粋な防寒性と機能性を最優先に設計されていた時代。本作はその空気感を色濃く残した一着です。

表地にはマットで落ち着いた質感のファブリックを採用し、過度な光沢を抑えた佇まい。内部にはボリュームのあるダウンを封入し、実用面でも非常に高い保温力を備えています。フード周りにはリアルファーを配し、こちらはデタッチャブル仕様。ファーを外すことで、よりミニマルで都会的な印象へと切り替えが可能です。

フロントは比翼仕立て、首元までしっかり覆う高めのスタンドカラー構造。
ダウンのステッチを表に出さない設計により、アウトドアウェアでありながらも落ち着いた印象に仕上げられています。腰位置のポケットはグローブ着用時でも使いやすい角度で配置され、裾内側には風の侵入を防ぐインナー構造を備えるなど、寒冷地での使用を前提としたディテールが随所に見られます。

さらに特筆すべきは、背中内側に備えられたストラップディテール。スキーウェアやアルピニズム由来の発想によるもので、脱いだ際に背負うことができる非常に珍しい仕様です。現行のMONCLERではほとんど見られない、ブランド本来の機能服としての思想が体現されています。

現行MONCLERとの違いとしては、
・ロゴや装飾を前面に出さない控えめなデザイン
・ファッション性よりも先に「防寒具」としての完成度を追求した設計
・実用性から生まれたディテールが、そのままデザインとして成立している点
が挙げられます。

現在の洗練されたラグジュアリーラインとは異なり、道具としてのMONCLERを感じられる点が、この年代ならではの魅力です。

全体は程よく余白を持たせたパターンで、インナーを選ばず着用可能。
ロングコートほど重くならないミドル〜セミロング丈のバランスも、日常使いしやすいポイントです。

ファッションとしてではなく、「寒さから身を守るために作られた服」。
90年代後半〜00年代初頭のMONCLERが持っていた本質を、今改めて感じていただける一着です。

■size(cm)
表記サイズ:4
肩幅55/身幅62/着丈85/袖丈63

■textile
Shell:Polyamid 100%
Lining:Down 100%

■model

■condition
とても綺麗な状態です
その他は画像をご確認下さいませ。

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