"Ralph Lauren(ラルフ ローレン)"は、1967年、ニューヨークのブルックス・ブラザーズで経験を積んだラルフ・ローレンが、自身の名を冠したブランドとして設立されました。
最初に手掛けたのは幅広のネクタイコレクション。
当時の細身が主流だったビジネスシーンにおいて異彩を放ち、上質な素材とクラシックな配色で一躍注目を集めました。
翌年にはメンズウェアライン"Polo by Ralph Lauren"を立ち上げ、単なる服飾ブランドではなく"アメリカン・ドリーム"を体現するライフスタイルそのものを提案していきます。

その哲学の根底にあるのは、英国的エレガンスとアメリカ的実用主義の融合。
アイビー、トラッド、ウエスタン、ワーク、ミリタリーといった要素を再構築し、誰もが憧れる"理想の上品さ"を日常に落とし込むことを目指しました。
1972年に誕生したポロシャツはその象徴であり、胸のポニーロゴは世界中でアメリカン・クラシックのシンボルとして定着しました。

1990年代以降、Ralph Laurenは世界観をより細分化し、"Purple Label"に代表されるテーラードの最高峰や、アメリカ西部の開拓時代を背景にした"RRL"など、多様なレーベルを展開します。
特にPurple Labelはイタリア最高峰の工場で縫製されるスーツやコートが中心で、ハンドメイドの温もりと現代的なシルエットを兼ね備えた逸品揃いです。
一方のRRLは、オーセンティックな素材と経年変化を楽しむディテールが魅力で、古き良きアメリカンワークを現代に蘇らせています。

また、ラルフ・ローレンのデザイン哲学は"クラシックを刷新すること"にあります。
服そのものの美しさに加え、背景にあるストーリー性——東海岸の名門大学の気品、アメリカ西部の荒野、ヨーロッパの貴族的価値観——を織り込み、着る人に"物語をまとう感覚"を与えます。
素材選定にも徹底しており、上質なピマコットンや英国ツイード、イタリア製ウールなど、クラフトマンシップを感じさせる生地を多用。
デザインから縫製、仕上げに至るまで一貫した品格が息づいています。
"Ralph Lauren"とは単なるブランド名ではなく、アメリカが誇る文化そのもの。
クラシックを基軸にしながらも、常に新しい時代のリアルクロージングを提示し続ける存在として、世界のファッション史に揺るぎない足跡を残しています。

本品は、ラルフローレンが90年代に得意とした"アメリカンワーク再構築"を象徴する一着であり、まさにRRLの源流とも呼べる荒々しいクラフト感とクリエイションが凝縮されたプロダクトです。

淡く経年変化したデニムを大胆にパッチワークしながら、一着のジャケットとして高い完成度へと昇華させた、当時のラルフローレンらしい妥協なき姿勢がそのまま表れています。
最大の特徴は、複数の濃淡・表情の異なるデニムを組み合わせた切り替えのデザイン。
フロントには縦方向のストライプ、袖には幅の違うストライプ、フロントヨークにはより太いラインを配し、そこに自然な色落ちのブルーデニムを部分的に挟み込むことで、均一ではないヴィンテージワークの空気感が漂います。
生地のひとつひとつが異なる表情を持ちながらも全体が美しく調和しており、ラルフローレンが得意とする"意図された不均衡"の美学を感じ取ることができます。

特に秀逸なのが、胸ポケットフラップに使用された濃紺のデニム。
経年による強いアタリとムラ感を表現し、全体の淡いトーンに対して深みのあるアクセントとして機能。
スイッチングの妙が最もよく表れたディテールと言えるでしょう。

また、袖の切り替えも特徴的で、肘下にはストライプ幅が異なる生地を大胆に採用。
それによって視覚的なリズムが生まれ、まるで古いワークジャケットを分解し、ラルフローレンが独自に再構築したようなニュアンスが感じられます。
カフ部分には色濃く残ったデニムが配され、袖先に自然な奥行きを作り出す点も実に巧みです。

バックスタイルも抜かりありません。
背面上部には大きく切り替えを入れ、左右非対称にパッチワークされた面構成が、ワークウエアの武骨さを残しながらもファッションとして成立する絶妙なバランスを保っています。
縫製は非常に丁寧で、ステッチワークに陰影が生まれるほど強弱のあるアタリが随所に見受けられます。

シルエットは90年代らしい程よくゆとりのあるクラシックフィット。
肩には適度に落ち感が生まれ、タイトすぎず、現代のスタイリングとも自然に馴染む黄金比のバランスです。
カットソーの上から羽織ってラフに着ても、厚手のスウェットやフーディーとレイヤードしてもまとまる懐の深いシルエットで、気取らないアメリカンクラシックの良さを存分に味わっていただけます。
全体的なフェード感は、実物でしか出せない90年代特有の柔らかいブルー。
デニムのストライプが経年により柔らかく滲むように残り、パネルごとの色落ちの差異が自然な陰影として存在しています。

ラルフローレンが築き上げてきた"アメリカの物語を服で語る"という思想が、最もわかりやすく、最も魅力的な形で具現化された一着。
ラルフの世界観を愛する方はもちろん、ワーク・ヴィンテージ・デニムを軸とするスタイルを好む方にとって、この上ない存在感を放つ特別なジャケットでございます。

■size(cm)
表記サイズ:XL
肩幅54.5/身幅64/着丈66.5/袖丈71.5

■textile
Shell:Cotton100%

■model

■condition
とても綺麗な状態です。
その他は画像をご確認下さいませ。

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