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1856年、イングランド・ハンプシャー州ベイジングストークにて、当時21歳の若き仕立て職人トーマス・バーバリーによって創業された "Burberry's(バーバリー)"。
小さなアウトフィッターから始まったこのブランドは、やがて英国を代表するラグジュアリーメゾンへと成長し、その歩みはイギリス服飾史そのものといっても過言ではありません。
バーバリーの歴史を語るうえで欠かせないのが、ブランドの象徴ともいえる 「ギャバジン(Gabardine)」生地 の誕生です。
1879年、トーマス・バーバリーは、当時のアウターウェアでは常識であった重く固い防水布に替わる、新たな機能素材を研究。
その結果、細密に織り上げたコットンに防水加工を施し、しなやかで通気性があるのに雨風に強い画期的な生地「ギャバジン」を開発し、特許を取得しました。
この素材は、過酷な環境に挑む冒険家や探検隊、軍服などさまざまな用途で愛用され、バーバリーの名は一気に世界へ広がります。
南極点到達を目指したアムンセン隊、エベレスト登頂を目指したジョージ・マロリーといった歴史的挑戦者たちが、寒風や嵐に耐えるための衣服としてバーバリーを選んだことは、まさにブランドの技術力の証といえるでしょう。
そしてバーバリーのもうひとつの象徴が、第一次世界大戦時に英国陸軍のために生み出された 「トレンチコート」 の存在です。
肩章(エポーレット)、ガンフラップ、ストームシールド、Dリング、深いスリーブストラップなど、今日のトレンチに受け継がれる多くのディテールは、この時代に軍用コートとして開発された機能に端を発します。
戦後は民間ファッションへと転用され、やがて"英国紳士の象徴" として定着。今や世界中に愛される永遠の定番アウターとなりました。
加えて、ブランドを象徴する 「バーバリーチェック(ハウスチェック)」 の存在も欠かせません。
クラシックなベージュを基調としたタータンチェックは、当初はコートのライニングとして使用されていましたが、その後バッグやマフラー等のアクセサリーにまで広がり、バーバリーのアイデンティティを象徴する普遍的なモチーフへと成長しました。
バーバリーの特徴は、伝統的な英国テーラリングと実用性、そして時代性の絶妙なバランスにあります。
厳しい気候に耐えるための機能性と、美しいシルエットをつくるためのカッティング。
一見相反するこれらの要素を高次元で融合させ、"必要から生まれた機能美" をそのままスタイルへと昇華させる手腕こそが、バーバリー独自の魅力です。
現代においてもバーバリーは、ギャバジンをはじめとする高密度素材のアップデートや、アーカイブを踏まえたデザインの再解釈により、クラシックでありながらフレッシュなスタイルを提案し続けています。
トレンチコートはもちろん、ステンカラーコート、キルティングジャケット、カシミヤマフラーにいたるまで、どのプロダクトからも「時代を超えて着られること」への強い意志が伝わってきます。
160年以上の歴史の中で培われた技術と、英国ブランドとしての誇り。
それらすべてが丁寧に織り込まれたバーバリーの衣服は、単なるファッションアイテムではなく、人生に長く寄り添う"道具"としての価値を持ち続けています。
こうした揺るぎない伝統と革新性を背景に、バーバリーのアーカイブには今日では考えられないほど手間をかけた素材や仕様が数多く存在します。
その象徴ともいえるのが、今回ご紹介する一着でございます。
"タマムシ"とは、糸の染色や織りの段階で二つ以上の異なる色を意図的に交差させることで、光の角度によって色味が変化して見える特別な生地のこと。
昔のバーバリーでは高級ラインにのみ採用されていた、非常に贅沢で希少性の高いファブリックです。
現代の生産ではコスト・効率の面からほとんど見かけることがなく、当時ならではの深みある質感と"翡翠の羽"のような色の揺らぎは、ヴィンテージバーバリーの中でもコレクタブルな存在とされています。
さらに本作は、一枚袖(One Panel Sleeve)ラグランという高度な仕立てによる構築。
肩から袖にかけて継ぎ目を極力排したこのカッティングは、布の落ち方が非常に滑らかで、着る人の体型に自然と馴染む独特の空気感を生み出します。
特にバルマカーンコートのようなAラインと相まって、歩いた際にふわりと揺れるシルエットは他のブランドでは決して出せない"英国の品"そのもの。
ヴィンテージバーバリーの醍醐味が存分に味わえるディテールです。
生地はコットン100%。しかし単なるコットンではなく、打ち込みの良い高密度素材を用いることで、上品な光沢としっとりとした落ち感を両立しています。
当時は現在のような化繊混紡に頼らず、天然素材のみで耐候性を確保する必要があったため、糸選びから織り密度、仕上げ加工に至るまで、職人たちの技術が凝縮されている点も特筆すべきポイントです。
ディテールに目を向けると、その佇まいは実にクラシックで、当時のバーバリーが追求していた"機能と美の調和"を余すことなく伝えています。
フロントは雨風の侵入を防ぐための比翼仕立てを採用し、ボタンを隠すことで外観をよりミニマルに整えています。
随所に施された太めのステッチワークは、単なる装飾ではなく耐久性を高めるための補強でありながら、結果としてデザイン的なアクセントにもなっている点が秀逸です。
また、第一次世界大戦期の軍用コートにルーツをもつ大ぶりの襟は、風を受けた際に立ち上がり、首元を守る役割を果たす実用的な設計。
そのボリュームがシルエット全体に重心を生み、クラシックコートらしい風格を漂わせています。
さらに背面には深いセンターベントが入れられ、歩行や乗馬時の可動域を確保しつつ、生地の揺らぎを美しく見せる効果も併せ持っています。
60年以上の時を経てなお、このコートが放つ存在感は色褪せません。
タマムシ特有の褪色やパッカリング、コットンの乾いた質感の変化——それらすべてが、この個体だけが持つ唯一無二の表情となり、ヴィンテージの魅力を一層引き立てています。
現代の大量生産では決して再現しえない、素材・縫製・意匠の三拍子が揃った一着。
バーバリーが"BURBERRYS"と名乗っていた時代、そして服づくりに揺るぎない誇りを宿していた時代を、今に伝える極めて希少なアーカイブでございます。
■size(cm)
表記サイズ:
裄丈85/身幅64/着丈115
■textile
Shell:Cotton100%
Lining:Cotton100%
■model
■condition
フロント、両サイドポケット、センターベント箇所のボタンが欠損しております。
その他は画像をご確認下さいませ。
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