1960年代にイタリア・フィレンツェ近郊のヴィンでローカルなレインコートメーカーとして創業した"allegri(アレグリ)"は、イタリアン・モダニズムの象徴として知られる存在です。
創設者ジュリオ・アレグリによる「テクニカルとエレガンスの融合」という理念のもと、機能性素材を駆使したコートやブルゾンを中心に展開。
1970〜80年代のジョルジオ・アルマーニとのコラボレーションをはじめ、マルタン・マルジェラやロメオ・ジリら多くのデザイナーとコラボレーションを行い、ミラノのファッションシーンを牽引しました。
特にアルマーニが手掛けた時期には、構築的なショルダーラインと流れるようなドレープ感、そして無駄を削ぎ落としたミニマルな意匠がブランドの代名詞となり、自身のブランドにも通じる独自のシルエット美が確立されます。
アレグリの真価は、素材研究への飽くなき探求心にあります。
ナイロンやレーヨン、コットンを独自にブレンドした生地や、撥水・防風・透湿性を兼ね備えたハイテクファブリックなどを早くから導入し、同時期の英国ブランドとは一線を画す軽やかな着心地を実現。
伝統的なテーラリングをベースに、合理性と都市的な洗練を兼ね備えたデザイン哲学は、今日の高機能アウターの源流とも言えるものです。
クラシックとモダン、職人技とテクノロジー。その両立を体現したアレグリは、現在もイタリアン・アウターの代表格として静かに再評価が進んでいます。

1990年代後期に製作されたallegriのハーフコート。
ブランド独自の素材"RY-COTTON(56%レーヨン × 44%コットン)"を用いた一着で、レーヨンの滑らかさとコットンの強さを兼ね備えた、軽量かつドレープ感のある生地が特徴です。
触れた瞬間に感じる落ち感と鈍い光沢は、当時のアレグリが誇った高密度織布技術の象徴。
撥水性にも優れ、都市生活者に求められる実用性とエレガンスが見事に融合しています。

デザインはシンプルながらも構築的で、比翼仕立てのフロントと低めの襟、立体的な袖付けが織りなす美しいAラインシルエットが印象的。
左右に配置された3つのフラップポケットは、ハンティングコートを思わせるクラシカルな意匠ながら、全体は極めてクリーンにまとめられています。
機能と美を兼ね備えたアレグリの哲学が凝縮された一着であり、完成度の高いイタリアン・モードの好例といえるでしょう。

■size(cm)
表記サイズ:
肩幅53.5/身幅63/着丈85.5/袖丈68

■textile
Shell:Rayon56% Cotton44%

■model

■condition
胸元にピンホールがございますが、その他綺麗な状態です。
その他は画像をご確認下さいませ。

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