"STONE ISLAND(ストーン アイランド)"は1982年の創設以来、ファブリックへの実験精神と染色技術の革新によって、スポーツウェアの概念を刷新してきたブランドです。
その中心的存在であったPaul Harvey(ポール・ハーヴェイ)の時代、素材開発の精度は最高潮に達し、科学と服飾の融合が最も洗練された形で表現されました。

本作は1999年春夏シーズンに登場した“Spalmatura Coated Cotton Pullover Hoodie Jacket”。
STONE ISLANDが誇る「スパルマトゥーラ(Spalmatura＝コーティング加工)」技術を駆使し、当時のテクニカルウェアの中でも特に完成度の高い一着と評されるモデルでございます。

素材は高密度コットンにポリウレタン系樹脂をコーティングした“Spalmatura Coated Cotton”。
この加工により、独特の鈍い光沢とハリを持ちながらも、しなやかで快適な着用感を実現。
表面にはレザーのような艶が生まれ、陰影の深いブラックカラーが立体的な質感を演出しています。
撥水性と防風性に優れつつも、コットンベースならではの通気性を備えている点も魅力です。着込むほどにコーティングが柔らかく馴染み、独特のシワと艶を帯びた“経年美”を楽しめるのもこの素材の醍醐味といえます。

デザインはハーヴェイ期らしい実験的アプローチを体現。
プルオーバー仕様のアノラック型で、フロントはハーフジップとフラップ付きの胸ポケットを配置。
ポケットは片側に寄せたアシンメトリックなレイアウトで、デザインと実用性を両立しています。
裾には“STONE ISLAND”のロゴ刺繍が控えめに入れられ、アイコン性を損なうことなく静かな存在感を放ちます。
また、フードは高密度のコットンライニングを備え、首回りをしっかりと覆う設計。
ハーフジップの引き手にはコットンテープを用い、ハンドワーク的な温かみを感じさせます。
袖や裾に縫い込まれた立体的なシームワークが全体を引き締め、機能に基づいた構造美を生み出しています。

シルエットはゆったりとしたボリューム感を持ち、
ドロップショルダー気味のリラックスフィット。
風をはらむ軽やかなフォルムは、インナーにスウェットやシャツを差してもバランスが取れ、季節を跨いで活躍します。シンプルながらも素材と構造が際立ち、装飾を排した中にストーンアイランドの哲学が凝縮されています。

この時期の“Spalmatura”シリーズは、ミリタリーやセーリングウェアから着想を得つつ、都市生活に最適化された機能服として開発されました。
テクニカルファブリックの質感、ハーヴェイらしい構築的デザイン、そして経年とともに変化する美しさ——。
99SS「Spalmatura Coated Cotton Pullover」は、ストーンアイランド黄金期を象徴する名作であり、当時の素材研究の粋を今に伝えるアーカイブピースでございます。

■size(cm)
表記サイズ:L
肩幅55/身幅65/着丈79/袖丈65

■textile
Shell:Cotton(Polyurethane Coated)

■model

■condition
綺麗な状態です。
その他は画像をご確認下さいませ。

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