"STONE ISLAND(ストーン アイランド)"は1982年創設以来、ミリタリー／ワークの合理性を起点に、素材研究とガーメントダイで日常着を刷新してきたブランドでございます。
とりわけ1990年代後半〜2000年代半ばにかけてクリエイティブ・ディレクターを務めたPaul Harveyは、機能から導かれる形と、染色・加工の科学を結びつけ、同社の評価を決定づけました。

本品は2006年春夏シーズンのSpalmatura Cottonジャケット。
名称の「Spalmatura(スパルマトゥーラ)」はイタリア語で“コーティング”の意。
高密度に織り上げたコットン地に樹脂系フィニッシュを施すことで、表面にしっとりとしたドライタッチとわずかな艶、そして防風性・耐候性を付与しています。
ガーメントダイによる深みのあるグレートーンは縫い目やエッジに陰影を生み、着用と洗いを重ねるほどパッカリングやアタリが現れて唯一無二の表情へ。
コットン本来の通気性と、樹脂仕上げ特有のハリ・復元力が同居する、ハーヴェイ期ならではの実験的テキスタイルです。

デザインはフィールドジャケットを現代的に再構成した一着。
スタンドカラーはスロートラッチで高く立ち上がり、首周りを確実にホールド。
内側に配されたリブゲイターが肌当たりを和らげ、風の侵入を抑えます。
前身頃にはフラップ付きのマチ入りパッチポケットを上下に計4室配置し、携行品の仕分けに長けた実用的レイアウト。
フロントは比翼気味の前立てで、ボタンの打ち合いをわずかにオフセットすることで、防風性と視覚的なシャープさを両立させています。
袖口はアジャストタブでフィット調整が可能。
左袖には象徴的なコンパスパッチが装着され、ブランドアイデンティティを静かに主張します。

バックスタイルは切り替えを最小限に抑えつつ、右裾寄りに楕円の補強パネルとユーティリティポケットを設け、耐久と機能をさりげなく強化。
過度な装飾を排し、素材の面構成と縫製の陰影で魅せる設計です。
シルエットはヒップをカバーするミドルレングス。
肩周りは自然な落ち感で、薄手のニットやシャツの上から軽やかに羽織っても、インナーを挟んで前を留めても収まりの良いバランス。
短すぎず長すぎない着丈が重心を安定させ、カーゴパンツからスラックスまで幅広いボトムスに対応します。

機能面では、コーティングコットンの防風性とコットン基布の吸放湿性により、通年着用可能。
小雨や埃を弾きつつ、蒸れにくい快適さを確保します。経年で現れる色のフェード、縫い目の立体感、袖口や裾の自然なアタリは、“着込むほど完成に近づく”ストーンアイランドの哲学そのもの。
ワードローブの核として長く活躍し、時間の経過を美しさに変えていくプロダクトでございます。

Paul Harvey期の研究成果を体感できる、2000年代ストーンアイランドの好例。
機能から導かれた設計、染色とコーティングがもたらす質感、そして実用品としての信頼性——三位一体の魅力を備えた一着です。

■size(cm)
表記サイズ:S
肩幅43.5/身幅49/着丈75/袖丈67

■textile
Shell:Cotton100%(Polyurethane Coated)

■model

■condition
胸ポケットあたりに補修痕がございます。
その他は画像をご確認下さいませ。

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