1982年、マッシモ・オスティがイタリア・ラヴァリーノのSportswear Companyの実験ラインとして立ち上げた"STONE ISLAND(ストーン アイランド)"。
ミリタリーとワークウエアの考証、そして染色・加工の研究開発を核に、衣服を素材研究の媒体へと広げてきたブランドです。
コンパスの意匠に象徴される“機能と探求”の姿勢は創業当初から一貫し、テント地を転用した初期のテラ・ステッラ、ガーメントダイを量産工程に組み込む先駆性、近年の機能素材とのハイブリッドまで——常にアーカイブが現在形で更新されてきました。

本作は、デザイナーにポール・ハーヴィーを迎えていた時期の1998年春夏に製作された“Denim Safari Shirt Jacket”。
1996年から約10年にわたりクリエイティブを担ったPaul Harvey(ポール・ハーヴィー)は、軍装とワークの実用性を現代の生活に翻訳することに長け、軽量素材やソフトな染色表現を随所で試みた人物です。
本作にもその手つきが色濃く表れます。
素材は軽やかなオンスのデニム。
シャツの可動性とジャケットの存在感を両立させるため、織りの密度と落ち感のバランスが精妙に調整されています。
前立ては比翼仕立てで、胸元のフラップポケットが視覚的な軸となり、ワーク由来の機能性をクリーンに整えます。
袖口はカフボタン、後身頃はヨークで運動量を確保。
直線的な裾線とほどよい身幅がつくるボクシーな輪郭は、サファリシャツの道具感を残しながらも現代的な抜けを生み、羽織るだけで均整のとれた佇まいへ導きます。

胸には小ぶりな“STONE ISLAND”のスタンプリンク。
象徴的なバッジを排し、素材そのものの表情を前面に押し出す選択は、当時のコレクションに見られる匿名性への志向を思わせます。
芯まで硬化させないデニムのタッチは肌離れがよく、シャツとしてもライトアウターとしても機能。
比翼の直線とポケットフラップの角度が生むリズムが、着用時にさりげない陰影をつくります。

タグには“Made in Italy”の表記。
Sportswear Companyの自社工場による確かな縫製で、前立てやカフの運針、負荷のかかるポケット付けの補強など、見えない部分まで誠実に仕上げられています。
1990年代後半、ブランドが“研究のラボラトリー”としての立場を一般衣料へ滑らかに接続していった過渡期の一着であり、ハーヴィー期の要諦——機能を研ぎ澄ましながら記号性を抑える姿勢——を気持ちよく体現。
時代を隔ててもなお瑞々しい、ストーンアイランドのアーカイブを語るうえで示唆に富むピースです。
アーカイブとしての希少性はもちろん、日常に溶け込む完成度の高さをご体感いただけます。

■size(cm)
表記サイズ:XL
肩幅55/身幅64/着丈82/袖丈68

■textile
Shell:Cotton100%

■model
176cm

■condition
とても綺麗な状態です。
その他は画像をご確認下さいませ。

発送まで4日程度頂戴いたします。

【必ずオンラインサイト下部の特定商取引法に基づく表記をお読みになってからご購入ください。】
※神経質な方のご購入はご遠慮ください。
※NCNR、ビンテージやアンティークにご理解のある方のみご購入下さい。