1988年、ベルギー出身のデザイナー、マルタン・マルジェラが創設した"Maison Martin Margiela(メゾン マルタン マルジェラ)"は、既成概念の解体と再構築を美学とする前衛系メゾンでございます。
匿名性を重んじる白いラベルや四隅のステッチ、ナンバリングでラインを示すカレンダータグなど、服そのものの純度を前面に押し出すアプローチでモード史に独自の足跡を刻んできました。
メンズのワードローブを担うのは"10"のラインで、クラシックを骨格に置きながら分量や素材、仕立てのテンションを巧みにずらすことで新しい均衡を生み出します。
本作のシーズンである2002年春夏は、マルジェラ本人がクリエイティブを率いていた時期にあたり、実用と実験精神が最良の形で交差したコレクションでございました。

こちらは2002年春夏の"Maison Martin Margiela(メゾン マルタン マルジェラ)"によるコットン・チェスターフィールドコートでございます。
高密度に織り上げたコットン地は、わずかに玉虫調の光沢を湛え、光の角度で表情が静かに移ろいます。
色は明るすぎないベージュ。
品の良いマット感の奥に艶が差し、ワントーンの装いにも奥行きを与える生地選びでございます。
フロントは3ボタン、深めに刻まれたVゾーンと鋭角的に伸びるラペルが、縦のラインをきりりと強調いたします。
肩周りは過度な構築感を抑え、芯地を必要最小限にとどめた軽やかな仕立て。
膝上に収まるハーフ丈は、スーツの上からもカジュアルにニットの上からも受け止めやすい汎用性に富みます。
腰には手の収まりがよい角度のスラントポケットを備え、後ろ中心は可動域を確保するセンターベント。
総じて、クラシックを下敷きにしながら現代の生活速度に寄り添うコンフォートを持たせた設計でございます。

内側にはお馴染みのカレンダータグを配し、"10"に丸印が入るメンズラインの作であることを明快に示します。
縫製は運針が揃い、端始末も端正。
裏側の見えない部分まで一貫して潔い処理が施され、軽やかさと強度のバランスが秀逸でございます。
手に取ればコットンならではの自然な落ち感と、擦れに強い実用性。
着込むほどに柔らかさが増し、艶が深まる経年変化もまた楽しみでございます。

"Maison Martin Margiela(メゾン マルタン マルジェラ)"の初期らしい知性と誠実さが宿る一着。
声高な装飾を排し、プロポーションと素材だけで語り切る態度は、クローゼットに長く居続ける条件そのものでございます。
スーツスタイルの上質な外套としても、週末の軽い羽織としても活躍する汎用コートをお探しの方に是非。

■size(cm)
表記サイズ:50
肩幅45/身幅50/着丈94.5/袖丈65

■textile
Shell:Cotton100%
Lining:Acetate100%

■model

■condition
後身頃に軽微なシミが確認できますが、破れ等なく綺麗な状態です。
その他は画像をご確認下さいませ。

発送まで4日程度頂戴いたします。

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