1961年、イヴ・サン＝ローランとピエール・ベルジェにより創設された"Yves Saint Laurent(イヴ・サン＝ローラン)"は、オートクチュールの精神をプレタポルテへと拡張し、現代服の地図を塗り替えてきたメゾンでございます。
女性のためのタキシード「スモーキング」、サファリジャケット、ピーコートの再解釈——実用服をエレガンスへと昇華させた数々の提案は、モード史に確かな痕跡を残しました。
1960年代後半にスタートした"Rive Gauche"ラインは、日常に根差した上質を掲げ、のちのメンズウェアにも通底する姿勢を確立。華美に走らず、線と色で知性を描く。
YSLの矜持でございます。
本品は、1990年代頃の"Yves Saint Laurent pour homme"コットン・チェックドレスシャツでございます。
まず特筆すべきは色設計。
淡いサックスブルーを基調に、ネイビーとグレーの細線が規則正しく走る上品なチェック。
白場とのコントラストが澄み、遠目はソリッド、近くで表情が立ち上がる発色の良さでございます。
スーツやブレザーの下でも柄が騒がず、タイの色を受け止める受容力。
YSLの色彩感覚が、日常のシャツ地で静かに花開きます。

素材はコットン100%。薄手ながら腰があり、気持ちのよいタッチです。
袖を通したときの肌離れもよく、通年で頼れる実用性。
洗濯を繰り返しても発色が濁りにくく、柄のエッジが保たれる点も魅力でございます。

ディテールは端正。
台襟付きのセミスプレッドカラー、前立てはオーセンティックなプラケット仕様。
胸にはトナルカラーでYSLモノグラム刺繍を控えめに配置し、主張は最小限に。
袖口は二段階で調整できるカフス、運針は細やかで、角の始末もきれいに落ち着きます。
背面はヨークにセンターボックスプリーツを配し、肩の可動域を確保。
裾は緩やかなラウンドカットで、タックイン／アウトのどちらにも馴染む設計でございます。

シルエットは肩・身幅にほどよいゆとりを持たせたレギュラーフィット。
身体からわずかに離れる余白が、柄の直線と相まって縦方向の品を強調します。
ジャケットの下では襟の開きが美しく決まり、単体で着てもだらしなく見えない着丈バランス。

華美ではなく精度で語る一枚。
発色の良いチェック、理にかなったパターン、信頼できる縫製。
服好きの目線に耐え、日常の装いを確かに底上げしてくれるYSLのドレスシャツでございます。
ワードローブの基点として、長くご愛用いただきたいスタンダード。
静かな品格、確かな実用。90’sの空気を上質に宿す良品でございます。

■size(cm)
表記サイズ:L
肩幅53/身幅64/着丈79/袖丈65

■textile
Shell:Cotton100%

■model

■condition
着用感はございますが比較的綺麗な状態です。
その他は画像をご確認下さいませ。

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