1933年、パリ左岸セーヴル通り14番に誕生した"ARNYS(アルニス)"は、サルトリアルな仕立てと職人仕事を核に、知識人や芸術家を惹きつけてきた名門でございます。
機能服を上流の文脈へと引き上げた代表作「フォレスティエール」に象徴されるように、実用とエレガンスの交点を磨き上げてきたブランド。
ル・コルビュジエをはじめ左岸の文化人が愛用した背景は、服に「語る知性」を宿すという同店の哲学を雄弁に物語ります。
2012年にベルルッティへ統合されて以降、当時の空気を纏ったオリジナルのARNYSは、よりいっそう希少価値を高めております。

本品は、そのARNYSの美学をデイリーに落とし込んだ一着でございます。
深い森を思わせるグリーン。
ブランドの世界観を一色に凝縮したかのような奥行きのある発色です。
生地はコットン鹿の子編み。
細かな凹凸が肌離れを生み、通気性と適度なハリを両立。
Tシャツの気軽さとシャツの端正さを併せ持つ素材選びでございます。

台襟付きのシャツカラーにフルボタンダウンの前立て、胸ポケットにはトナルで控えめなロゴ刺繍。
袖口はカフス仕立てで、ロールアップしても様になる設計。
ポロのリラックスとドレスの所作が一枚に共存いたします。

シルエットはドロップショルダーを伴うゆったりとしたボックス型。
体からわずかに離れる余白が生地の落ち感を引き立て、動きに伴う陰影が豊かに出ます。

ホワイトデニムやグレイのトロピカルウール、オリーブのミリタリーパンツまで、ボトムスを選ばない汎用性。足元はローファーで左岸的に、あるいはパラブーツのシャンボードで土のニュアンスを添えて。
春夏は素肌に、秋口は長袖カットソーを忍ばせレイヤードで—季節を横断する使い勝手でございます。

特筆すべきは本作の来歴です。
2代目オーナー、レオン・グランベール氏の私物として当店に届いた“Owner’s Archive”。
メゾンの舵取りを担った人物のワードローブに実際に収められていた一点という事実は、単なる古着の枠を超え、コレクタブルな価値を付与いたします。日常に着れば肩の力が抜け、アーカイブとして眺めれば物語が立ち上がる。
服好きにとっての愉しみが二重に宿る一枚でございます。

ディテールは雄弁にして寡黙。
艶を抑えた4穴ボタン、端正な運針、裾まわりの自然なラウンド。
どれも声高ではありませんが、手に取るほどに納得のいく作り。
ARNYSが掲げた「実用の上に成り立つ気品」を、最小限の手数で実現しております。

装飾で説かず、質と佇まいで語る服。
左岸の空気を纏うグリーン、鹿の子の快適さ、シャツの所作。
そこに“Owner’s Archive”という唯一無二の来歴が重なる—。
ワードローブの核にも、コレクションの要にもなり得る、ARNYSらしさが凝縮した逸品です。

■size(cm)
表記サイズ:54
肩幅58/身幅63/着丈68/袖丈57

■textile
Shell:Cotton100%

■model
176cm

■condition
僅かに着用感がございますが非常に綺麗な状態です。
その他は画像をご確認下さいませ。

発送まで4日程度頂戴いたします。

【必ずオンラインサイト下部の特定商取引法に基づく表記をお読みになってからご購入ください。】
※神経質な方のご購入はご遠慮ください。
※NCNR、ビンテージやアンティークにご理解のある方のみご購入下さい。