フランス・パリに拠点を構える"SERAPHIN(セラファン)"は、創業以来、レザーウェア専門のメゾンとして卓越した技術と素材選びで知られてきました。
華やかな広告展開をほとんど行わず、むしろ静かな佇まいの中で、真に上質なものを求める顧客の信頼を積み重ねてきた存在です。
その顧客リストには、ヨーロッパ各国の著名人や政財界の要人が名を連ね、彼らの日常や特別な場面に寄り添う一着を提供してきました。
流行や大量消費に流されることなく、一着ごとに緻密な仕立てを施す姿勢は、SERAPHINを知る人にとって"知る人ぞ知る究極のレザー"という評価を確立させています。

本品に使用されているのは、クロムなめしによるラムレザーです。
クロムなめしとは、19世紀末に開発された製革技術で、塩基性硫酸クロムを用いて皮を鞣す方法。
植物タンニンなめしと比べ、短期間で柔らかくしなやかに仕上がるため、繊細なラムスキンとの相性は抜群です。
加えて、クロムなめしは耐水性や耐熱性にも優れ、型崩れしにくい特性を持ちます。
このため、日常的な着用によるシワや変形を最小限に抑えながら、美しいシルエットを長く保つことが可能です。
本作でも、そのしなやかさと軽やかさは袖を通した瞬間に感じられ、肩に吸いつくようなフィット感を生み出しています。

SERAPHINの名が一部の愛好家の間で特別視される理由のひとつに、かつてエルメスのOEMを請け負っていたという事実があります。
世界最高峰と謳われるメゾンの要求に応えられる技術力と素材選定力を備えていたことは、SERAPHINの職人たちの精度を証明しています。
エルメスのプロダクトに求められるのは、単なる高級感ではなく、細部の縫製やパターン精度、そして革そのものの品質においても妥協を許さない完成度。
それらを裏方として支えていた経験は、SERAPHINの自社製品にも色濃く反映されています。このハーフコートにも、ブランドロゴや派手な装飾に頼らずとも、仕立ての美しさで魅せる力が宿っています。

本一着はシンプルでありながら一切の無駄がない構造が特徴です。
小ぶりな襟は顔まわりをすっきりと見せ、フロントのボタン配置やポケット位置も実用性と視覚的バランスが両立されています。
全体のシルエットは適度なゆとりを持ちつつ、レザー特有の重さを感じさせない軽快な着心地。
袖を通せば、クロムなめしの柔らかさと軽さが生み出す快適さを実感できるでしょう。
さらに、黒の発色にも奥行きがあり、クロムなめし特有の艶やかな表情が上品かつモードな雰囲気を醸し出します。
このニュアンスの豊かさは、高品質なラムレザーと丁寧な染色による賜物です。

目立つロゴも派手な装飾もない、しかし袖を通せばわかる確かな完成度。
日常の装いにさりげない格上げをもたらし、フォーマルにもカジュアルにも難なく溶け込みます。
90年代という時代の空気をまといながらも、現代のワードローブにおいても全く遜色なく活躍する汎用性。
長く付き合うほどにその価値が深まり、所有者のスタイルと共に成熟していく──そんな魅力を備えたレザーコートです。

■size(cm)
表記サイズ:56
肩幅54.5/身幅66.5/着丈81.5/袖丈65

■textile
Shell:Leather100%
Lining:Acetate100%

■model
176cm

■condition
とても綺麗な状態です。
その他は画像をご確認下さいませ。

発送まで4日程度頂戴いたします。

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※神経質な方のご購入はご遠慮ください。
※NCNR、ビンテージやアンティークにご理解のある方のみご購入下さい。