1982年、イタリア・モデナで産声を上げた"STONE ISLAND(ストーンアイランド)"。
ミリタリーウェアやワークウェアに深く根差したデザイン言語と、先鋭的なテキスタイル研究を融合させたそのアプローチは、他に類を見ないオーラを放ち、今なお世界中のファッションラバーを魅了し続けています。

その創設者であるマッシモ・オスティは、単なる"服づくり"に留まらず、科学と美意識の交差点を追い求めた真の実験主義者でした。
そして1996年、オスティの退任後にブランドのディレクションを引き継いだのが、イギリス出身のデザイナー、ポール・ハーヴェイです。
セントラル・セント・マーチンズ卒業という背景を持ち、後に名ブランド"Ten c"を立ち上げる彼は、STONE ISLANDのDNAを尊重しながらも、よりモダンでアーバンな感性を持ち込むことで、ブランドの第二章を見事に導いていきました。

本作は、そんなポール・ハーヴェイによるデザイン期後期、2006年秋冬シーズンにリリースされた希少な一着。
STONE ISLANDのアーカイブを象徴する素材のひとつ、"DAVID-TC(デイヴィッド・ティーシー)"を用いたミリタリーフィールドジャケット型のモデルとなります。

DAVID-TCとは、ポリエステルとナイロンの混紡糸を高密度に織り上げた特殊なベース生地に、縫製後、130℃の高温と圧力をかけて染色(ガーメントダイ)を施すという、同ブランド特有の複雑な工程を経て仕上げられたファブリックです。
その結果として得られるのは、まるでスエードのような柔らかなタッチと、わずかに鈍く光る独特のマットな光沢感。
さらに高い防風性と撥水性も兼ね備えており、機能性と美意識が共存したSTONE ISLANDらしい素材哲学が、極めて高い完成度で体現されています。

デザインは、4つの大ぶりなフラップポケットをフロントに備えたクラシックなミリタリーフィールドジャケット型。
さらに、襟裏にはチンストラップを、肩にはエポレットを配し、オーセンティックなディテールをしっかりと押さえながらも、洗練されたシルエットや素材の質感により、あくまで現代的な装いとして昇華されています。

左袖にはもちろん、ブランドの象徴たるコンパスロゴワッペンを配置。
製品全体のムードと静かに調和しながらも、STONE ISLANDであることを確かに伝えています。
カラーリングは、モカとグレイッシュオリーブの中間のような絶妙なニュアンス。光の当たり方によって表情が移ろい、時にクラシックに、時に無機質でアーバンな雰囲気を醸し出します。
まさにSTONE ISLANDの本領が発揮された一着。

ヴィンテージ市場でも、DAVID-TCシリーズの中でも初期にあたるこの時期のモデルは流通数が少なく、かつコンディションの良いものは年々入手困難となっております。
とりわけ本作のようにポール・ハーヴェイによるデザインが色濃く反映された個体は、コレクションピースとしても非常に価値ある存在です。

時代に流されない確かな存在感、素材に宿る思想、デザイナーの手跡が感じられる造形。
このジャケットは単なるアウターという枠を越えて、STONE ISLANDというブランドの進化と成熟の証として、静かに語りかけてきます。

唯一無二のヴィンテージアウターをお探しの方にこそ、ぜひお試しいただきたい一着です。
どうぞ、袖を通して、その奥行きと質量を肌で感じてみてください。

■size(cm)
表記サイズ:L
肩幅49.5/身幅60/着丈80.5/袖丈69

■textile
Shell:Polyester65% × Nylon35%

■condition
全体的に着用感がございます。
その他は画像をご確認下さいませ。

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