なら 手数料無料で 月々¥36,660から
かつて、"服"という概念に革命をもたらした一人のデザイナーがいました。
その名は"Thierry Mugler(ティエリー・ミュグレー)"。
フランス・ストラスブール出身の彼が切り開いたのは、単なる衣服ではなく、「変身」や「解放」といった概念すら含んだ、ドラマティックなスタイルの世界でした。
ミュグレーが1970年代にブランドを設立した当時、ファッション界はまだクラシカルなシルエットに根ざしていました。
しかし彼のアプローチは異端であり、だからこそ鮮烈でした。
建築的で未来的。
エッジの効いたショルダーライン、極限まで絞られたウエスト、そして滑らかなカーブを描くヒップライン。
彼の手がけるジャケットやドレスは、まるで彫刻のように身体を構築し、従来の"服"とはまったく異なる存在感を放っていました。
ティエリー・ミュグレーの美意識には、明確なテーマが存在します。
それは「力強い女性像」。
彼の服を纏う人物は、決して"可愛らしい"のではなく、どこか神話的で、そして堂々たる威厳を備えています。
1980〜90年代にかけて、ファッションがパワーと結びついて語られるようになった背景には、ミュグレーの存在が大きく影響しています。
そのアイコニックな"パワーショルダー"のジャケットは、今なお象徴的なデザインとして語り継がれています。
また、ミュグレーはビジュアルの魔術師でもありました。
ランウェイショーはまるで舞台演劇のようであり、モデルたちはランウェイを歩くのではなく、"演じる"という表現の中で服と一体化していました。
その演出は時に挑発的で、時に神秘的。
現実から一歩外れたところにある美しさを、ファッションとして体現する希有な存在でした。
その後2000年代にブランドとしての活動は一時休止しますが、2020年代に入ってからはアーカイブが再評価され、現代のファッションシーンに新たな文脈で浮上しています。
特に初期のアイテムには、当時のミュグレー本人の強烈な美意識が色濃く刻まれており、いま再びヴィンテージとしての価値が高まり続けています。
そしてこちらは、ミュグレーの美学を最も直接的に感じられる一着となります。
まず目を奪われるのは、そのフォルム。
直線的なショルダーラインと、絞り込まれたウエストのコントラスト。
身体に沿うのではなく、身体を"彫刻的に再構成する"ようなシルエットこそ、90年代ミュグレーの真骨頂です。
イタリア製の上質なウール地は、品格のあるマットな質感とほどよいハリを備え、スーツ全体の構築的な印象をさらに引き立てます。
ラペルの緊張感、メタルボタンの反射が描くわずかな光彩は、静かな威圧感を漂わせつつも、どこか舞台衣装のようなドラマ性も湛えています。
このスーツは、"ビジネスウェア"の文脈では語りきれない。
それは一種のアーマーであり、パフォーマンスの衣装であり、着る者の輪郭を再定義するための道具。
日常のなかに非日常を持ち込む、ミュグレーらしい美意識の結晶です。
ただ着こなすのではなく、自らの佇まいを更新するための服。
"スーツであること"を超えた、異彩と洗練の象徴とも言うべきヴィンテージピースを、ぜひワードローブに。
■size(cm)
表記サイズ:
肩幅47/身幅54/着丈72.5/袖丈58
ウエスト83/裾幅20/股上/35股下62
■textile
Shell:Wool100%
Lining:Bemberg50% × Rayon50%
■condition
一部にうっすらと汚れがございます。
その他は画像をご確認下さいませ。
発送まで4日程度頂戴いたします。
【必ずオンラインサイト下部の特定商取引法に基づく表記をお読みになってからご購入ください。】
※神経質な方のご購入はご遠慮ください。
※NCNR、ビンテージやアンティークにご理解のある方のみご購入下さい。
5,500memberpoint獲得
※ メンバーシップに登録し、購入をすると獲得できます。
※こちらの価格には消費税が含まれています。
※別途送料がかかります。送料を確認する
※この商品は海外配送できる商品です。