1950年代のベルギー軍によって採用されたブラッシュストロークカモフラージュ。
その中でも、空挺部隊に支給されたスモックには、他の国の軍装とは一線を画す独自の機能美と素材感が見て取れます。
この個体は、特に貴重とされるフードレス仕様のプルオーバータイプで、より簡素で軽量化を意識した構造となっています。

カモフラージュの色合いは、赤みや青みを帯びず、アーストーンを基調とした落ち着いた配色。
刷毛目は大ぶりでありながらも乱れが少なく、意図的に計算された配列が伺えます。
特筆すべきはその生地感で、ベルギー軍の中でもこの個体は非常に柔らかな風合いを持ち、肌に吸い付くような質感があります。
過酷な環境下での活動を想定しながらも、着用者の可動域や快適性に配慮された結果として、このテクスチャが選ばれたのかもしれません。

内部のタグには、英国軍と同様にブロードアロー(↑)の刻印が施されており、軍装における規格統一の名残が垣間見えます。
大ぶりのフラップポケット、後身頃に存在する特有のビーバーテイルなど、当時の機能性と造形美が見事に共存しています。

このスモックは、戦闘服でありながらもどこか穏やかで、冷静さをたたえた佇まいを持っています。
過剰に誇張されず、必要最小限の装飾で構成された構造美は、見る者に静かな印象を与えるのです。

■size(cm)
表記サイズ:
肩幅58/身幅84/着丈79/袖丈61

■textile
Shell:Cotton100%

■condition
各所に破れが見られます。
その他は画像をご確認下さいませ。

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