ブランドの創設は1990年代初頭。
ロンドンを拠点に、デザイナーEskandar Nabaviによって立ち上げられた"eskandar(エスカンダー)"。
当時のファッション界におけるトレンド主導の波とは明確に一線を画し、まるで静かな哲学のように服を仕立ててきました。
その出自には、ペルシャにルーツを持つ彼ならではの文化的な背景、そしてロンドンという都市の洗練が交差しています。

エスカンダーの衣服は、いわゆる"デザイン"や"装飾"とは異なる次元で成り立っています。
構造の多くは、中世の修道士服や民族衣装、さらには禅の衣のような東洋的なフォルムにインスパイアされており、シルエットはゆったりとしながらも、不思議と重力を感じさせない軽やかさを持ちます。
直線と曲線の調和、身体との間に生まれる"余白"の美。
それらすべてが、エスカンダーが持ち得る独自の哲学。

そして特筆すべきは、その素材選びへの厳格なこだわり。
上質なリネンやカシミヤ、シルク、コットンといった天然素材が用いられ、その質感や落ち感がデザインそのものを構成しています。
色調はナチュラルかつ静謐で、決して強い主張はありません。
それゆえに、着る人の存在や動作、空気までも映し出すような深みがあります。

サイズの概念も、エスカンダーでは独特。
ジェンダーや体型に縛られないサイズ設計は、あらゆる人に"包み込むような自由"を与えてくれます。
それは単なるオーバーサイズということではありません。
むしろ身体を締めつける要素を削ぎ落とした結果生まれる、自然な輪郭のようなもの。

また、エスカンダーのアイテムは一見シンプルでありながら、熟練のパタンナーによる緻密な設計が施されており、その立体性やドレープの流れ方には息をのむ美しさが潜んでいます。
華やかさではなく、静けさによって魅せる。
その寡黙な佇まいこそが、ブランドの本質。

その静けさの中で、最も軽やかに空気をまとう一着。
此度ご紹介する一着は、まるで風を織り込んだかのような質感と、時間すら緩やかにするような佇まいを備えています。

上質なホワイトリネンに、あえてごく軽やかな皺加工が施されており、きちんと整いすぎない、生活と共鳴する柔らかな表情を宿した本品。
首元はノーカラーの仕立て。
余白を感じさせるそのミニマリズムは、過剰な主張を排し、ただひたすらに"在ること"の美しさを教えてくれます。
前立てにはループボタンを配し、クラシカルな趣を持たせながらも、実用と装飾の境界線を曖昧にしたデザイン。
あえて目立たせないそのディテールに、Eskandarの寡黙な美意識が濃く滲みます。

肌を通した瞬間に感じるその質感には、天然素材ならではの涼やかさと、リネンがもつ芯のある強さが共存しています。
着用を重ねるごとに皺が刻まれ、表情が深まり、その人だけの一着へと育っていく。
常に美しさを更新し続け、時代の変遷を超えて寄り添ってくれます。

このシャツは、装う人の佇まいを静かに引き立て、日常の中に余白をつくる。
シンプルでありながら奥行きがあり、静寂の中にさざめきのような個性が光る。
エスカンダーらしい美しさが、最も軽やかなかたちで宿った一枚です。

■size(cm)
表記サイズ:1
肩幅80/身幅82/着丈61/袖丈35

■textile
Shell:Linen100%

■condition
とても綺麗な状態です。
その他は画像をご確認下さいませ。

発送まで4日程度頂戴いたします。

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