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静謐な表現と鋭利な構造美の交差点に立つブランド、"JIL SANDER(ジル・サンダー)"。
ドイツ・ハンブルク出身のジル・サンダー女史が1968年に設立して以来、ミニマリズムという言葉を体現する代表的存在として、世界のファッション地図に確固たる地位を築いてきました。
クラシカルで構築的、それでいて空気のような軽さを備える彼女のスタイルは、90年代のラフ・シモンズやヘルムート・ラングとも呼応しながらも、他のどのメゾンとも一線を画す存在。
その潔癖ともいえる削ぎ落としの精神は、後進のデザイナーたちにも多大な影響を与えています。
そんなブランドの軌跡の中でも、ある種の"転換点"として語られるのが、ロドルフォ・パリアルンガ氏が務めた僅かなシーズンでしょう。
プラダで長年キャリアを積み、モダンで洗練されたシルエット構築に定評のある彼が、ジル・サンダーに持ち込んだのは、より流動的で人間的なミニマリズムでした。
硬質なストイシズムを受け継ぎながら、そこに柔らかな抒情と可動性を加えたスタイル。
16年春夏コレクションは、その完成度の高さから、彼の在任期におけるハイライトとして今も記憶されています。
このナイロン・フーディージャケットは、まさにそのコレクションのルックピースとして登場した一着。
一見すると無機的にすら感じられるその佇まい。
しかし近づくほどに、極めて緻密にデザインされた構造が浮かび上がってきます。
ナイロンという素材の選択は、軽やかさとしなやかさ、そしてどこか人工的な未来感覚を伴っており、ジル・サンダーらしい機能性と美意識の調和が滲みます。
注目すべきは、前面に走るダブルジップ仕様。
上下どちらからも開閉可能なこのジッパーは、単なる実用性に留まらず、シルエットの自在な操作を可能にしています。
タイトにも、フレアにも、開放的にも密閉的にも——身体の動きや気分に応じて、ジャケットの印象が変化するその可変性は、日常における装いの自由をさりげなく広げてくれることでしょう。
この"着る人のための自由な構造"こそ、パリアルンガ氏の哲学そのものかもしれません。
また、フード部分はやや高めに設計されており、顔周りに柔らかな立体感を生みます。
ドローコードによって微細な調節も可能で、あくまで着る人の意思に寄り添う思想が貫かれています。
フードの付け根から肩にかけては、縫い目を感じさせない滑らかなカッティング。
そこから腕へと自然に落ちるスリーブラインは、計算された余白と張りのあるフォルムが絶妙なバランスで構築されています。
両サイドのポケットも、ジル・サンダーらしい設計が光っています。
実用性を重視しながらも、手を差し込んだときにジャケットのラインが崩れないよう、緩やかな傾斜がつけられていて、極めて機能的であると同時に、美しさが損なわれません。
こうした"見えない配慮"の積み重ねこそが、ジル・サンダーのプロダクトをただのミニマリズムで終わらせない所以です。
このジャケットを改めて眺めていると、"静寂"という言葉が脳裏をよぎります。
それは、声高に主張することなく、しかし確実に存在を刻み込んでくる静かな力。
パリアルンガが描いたジル・サンダーの一側面は、まさにそうした静謐さの中に込められた革新でした。
彼のジル・サンダーにおけるディレクションは短命でしたが、その限られた期間に紡がれたプロダクトの数々は、いずれも非常に純度の高い"現代の静けさ"を体現しています。
ジル・サンダーに吹き込まれた異色の空気。
それは同ブランドの軌跡を辿り、合わさり、新たな存在へと昇華し、記憶に残るプロダクトを遺しました。
ミラノのキャットウォークを彩った、紛うことなき逸品です。。
■size(cm)
表記サイズ:48
肩幅53/身幅60/着丈72.5/袖丈63.5
■textile
Shell:Nylon100%
■condition
とても綺麗な状態です。
その他は画像をご確認下さいませ。
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