ポケットの数だけある旅の物語。
地図、レンズキャップ、手帳、ファスナー付きの希望と、小さなナイフ。
それらをすべて包み込むこのジャケットは、機能と記憶、そして遠くの空気までも連れてくれます。

今回ご紹介するのは、1990年代にスウェーデンのアウトドアブランド"FJÄLLRÄVEN(フェールラーベン)"が手がけた、フォトグラファージャケット。
胸から裾までを覆うように配置されたマルチポケット仕様は、見た目の存在感に加えて、北欧らしい機能美を象徴する設計。
この一着には、フェール・ラーベンの哲学と北欧の自然が宿っています。

スウェーデン語で"北極ギツネ"を意味するその名のとおり、ブランドの根本には"厳しい自然にしなやかに順応する美しさ"が流れています。

その物語は、1950年のスウェーデン北部、エステルスンドの片田舎から始まります。
創業者のÅke Nordin(オーケ・ノルディン)は、当時14歳。
登山が趣味だった彼は、市販のバックパックの背負い心地に不満を持ち、自ら木枠と布を組み合わせた綿素材のバッグを手作りしました。
それが、のちにブランドを立ち上げる原点になります。

有名なのは、ブランドの代名詞とも言える"カンケンバッグ"や、軽量で耐久性のある独自開発生地G-1000(ジーセン)。
北欧の厳しい自然環境に対応するため、機能・耐久・快適性のバランスを極限まで高めることが、フェールラーベンの“デザイン”でした。
そしてこのフォトグラファージャケットにも、そのDNAは脈々と受け継がれています。

本品は、アウトドア・ジャーナリストや自然写真家、フィールドワーカーたちのために設計された特別仕様のジャケット。
最大の特徴は、ジャケット全面に配置されたマルチポケット構造。
大小さまざまなサイズのフラップポケットやファスナーポケットが、随所に配置されています。
カメラ機材、フィルム、フィールドノート、食糧やツール、それらすべてを分けて収納できるこの構造は、単なる機能性を超えて、"着るリュック"とも呼ばれるような存在感を持っています。
G-1000を使用した本品は軽量でいてタフ。
雨や風にも強く、体温調整がしやすい設計。
襟にはスタンドカラー構造が備わり、首元までしっかりとカバー可能。
フロントはスナップとジッパーの二重構造で、風を遮断します。
袖は着脱可能な仕様で、収納可能なフードも装備した非常に多機能なディテールも有しています。

全体の印象は、無骨さと知性が同居したような佇まい。
過酷なフィールドを歩くために作られながらも、どこか都市的で洗練されたフォルムは、北欧デザインならではの静かなエレガンスを感じさせます。

現代のアウトドアウェアが失いつつある、"必要から生まれた美しさ"。
それは、過剰なブランドロゴやデザインではなく、"なぜこう作られているのか"に正面から向き合った作り手の誠実さが生むものです。

このジャケットは、もちろんアウトドアシーンだけにとどまりません。
現代の都市生活においても、トートバッグの代わりになるほどの収納力と、ラギッドな空気感が魅力。
デニムやカーゴパンツとの相性は抜群で、無機質な街並みに映える自然な存在感をもっています。

自然の中で、あるいは都市の片隅で。
ポケットの一つひとつが、あなたの物語をそっと包み込むように。
過去の記録でありながら、今を生きるあなたの"道具"として、再び息を吹き返します。
そして次の10年、20年を、共に歩んでくれるはずです。

■size(cm)
表記サイズ:L
肩幅61/身幅71/着丈78.5/袖丈64

■textile
Shell:Polyester65% × Cotton35%
Lining:Nylon100%

■model
176

■condition
擦れや破れが各所にございますが、比較的綺麗な状態です。
その他は画像をご確認下さいませ。

発送まで4日程度頂戴いたします。

【必ずオンラインサイト下部の特定商取引法に基づく表記をお読みになってからご購入ください。】
※神経質な方のご購入はご遠慮ください。
※NCNR、ビンテージやアンティークにご理解のある方のみご購入下さい。