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まるで砂嵐の記憶をそのまま纏ったような、ざらりと乾いた手触り。
この一着には、かつて西部を旅した人々の息遣いが、どこかまだ残っているような気がする。
それが"ダスターコート"という服の本質──
風塵を払いながら、旅の途中で生まれ、歴史の流れとともに変容してきた服。
今回ご紹介するのは、1890年代 アメリカ製のダスターコート。
素材は、アンティークコットンガーゼ。
透けるように軽く、柔らかで、しかし確かな芯を持つ生地。
生成りのようなカラーの生地からは、アンティークファブリックしか持ち得ない雰囲気が漂います。
紙ボタンのダブルブレスト仕様という、当時ならではの実用美に満ちたディテールを残しながら、これはただの"古着"とは異なる存在。
まさに"時代が織り上げた一着"です。
ダスターコートのルーツは、19世紀後半のアメリカ西部開拓時代にさかのぼります。
当時の騎乗者や駅馬車の御者たちが、乾いた大地を走る中で身体を塵や砂から守るために羽織っていたのが、このコートの起源です。
1890年代──
アメリカが都市化へと向かい始める一方で、馬車から蒸気自動車へと時代が動き出した頃。
ダスターは、泥除けの実用品として"乗り物と共にある服"として進化していきます。
自動車黎明期の紳士淑女たちは、風を切る喜びとともに、埃を防ぐためにこのコートを羽織りました。
その佇まいは、野生と文明、開拓と洗練の境界線に立つ、美しい曖昧さを湛えていたのです。
この一着に見られる"紙ボタン"は、現代ではほとんど見られない、貴重なアンティークディテール。
金属や樹脂の代用品として、限られた資源の中で工夫されたこの素材には、時代の息吹と職人の知恵が詰まっています。
その素朴な質感が、コットンガーゼの生地と美しく響き合い、儚くも確かな存在感を放っています。
そして、ダブルブレストという構造は、風よけや防塵効果を高めるための合理的な仕様。
特にこのコートのように、長時間外気に晒されることを前提とした衣服においては、ファッションというより"生きるための構造"とも言える設計だったのです。
その目的の純粋さが、100年以上を経た今も、静かに胸を打つ理由かもしれません。
ヴィクトリアンな余韻を漂わせるショルダーライン、ふわりと落ちるロングシルエット、そして陽の光を透かすほどの軽やかさ。
風になびくほどのロング丈で、動きを妨げないゆったりとしたシルエット。
このコートは、あらゆる意味で"空気と共にある"服です。
この1890年代のダスターコートは、まさにそんな感情に応えてくれる、希少なアンティークです。
単なる古着ではなく、そこには時代の記録であり、着る者の風景を変える力が宿っています。
次に風が吹くとき、その一陣をまとって出かけていただきたい。
このコートが、きっと新しい時間の扉を開いてくれるはずです。
■size(cm)
肩幅50/身幅65/着丈123/袖丈61
■textile
Shell:Cotton100%
■model
176
■condition
裾あたりに汚れ、ピンホールがございますがアイテムを鑑みますと綺麗な状態です。
その他は画像をご確認下さいませ。
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