確かに時代の一端を形づくっていた、アメリカ陸軍のユーティリティウェアの数々。
なかでも本品は、実用性と耐久性を求めるミリタリーウェアの美学が結晶した、ひとつの完成形と言えます。

第二次世界大戦中、時の米国大統領である、ルーズベルト大統領の要請により開発されたこの"HBT=Herringbone Twill(ヘリンボーン・ツイル)"仕様のジャケット。
従来の軍隊のイメージを刷新するミリタリーギアから余計な装飾を削ぎ落とし、兵士の動きやすさと作業性を最優先して設計されました。

HBT——名の通り、ニシンの骨が連なり直線的に波打つ織り柄を持つこのツイル生地は、当時の軍用衣料において画期的な素材でした。
頑丈でありながら柔らかく、洗濯を重ねるごとに風合いを増していく質感。
規律と混沌が入り混じる戦場の空気を静かに吸い込み、年月とともにその姿を変えていくヘリンボーンツイルには、どこか詩的な奥行きが宿っています。

当時、その実用性の高さと着やすさは、まさに軍が現場のリアルを反映させた結果であり、ファッションではなく“必要”から生まれたデザインは、今日の目で見てもなお新鮮な魅力を放ちます。
前合わせはボタンフロントで、左右に設けられた大きめのフラップポケットが機能性を象徴していますが、全体としてはいたってシンプル。
その削ぎ落とされたバランス感こそ、モダニズムを感じる所以と言えるでしょう。

シャツに近い軽やかな着心地を持つアイテム。
身幅はややゆとりを持たせたボックスシルエット。
ミリタリーの名を冠しながらも、どこか中性的で、どんなスタイルにも自然に馴染みます。

本品はM-43の中でも後期のモデルにあたり、ナチスドイツとの先頭を想定したガスプロテクト用のフラップがついた個体。
時代性を感じるディテールは、単なるファッションウェアの意味合いだけでなく、歴史的資料に値するコレクションピースとしての価値を感じさせてくれます。

現代人の価値観に即したユーズフルな一着。
ミントに近いコンディションも含め、是非ともご一考いただきたい。

■size(cm)
表記サイズ:38R
肩幅51/身幅61/着丈75.5/袖丈60.5

■textile
Shell:Cotton100%

■condition
右肩に小さな破れがございます。
その他とても綺麗な状態です。
その他は画像をご確認下さいませ。

発送まで4日程度頂戴いたします。

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