デニムという素材が持つ説得力は、時に言葉を凌駕します。
縫い目、擦れ、ステッチの微かな波紋までもが記録として残り、そこに刻まれた意志や機能の名残を静かに語るかのよう。
この一着、2000年代製の"EURO Levi’s(ユーロ・リーバイス)"70501モデルは、まさにそうした“無言の語り手”として佇んでいます。
時代と文化、そしてリーバイスというブランドの理念を宿したプロダクトでありながら、それ以上に、姿かたちそのものに宿る造形美が見る者の想像力を刺激してやみません。

主にヨーロッパ市場に向けて展開された"70501"のモデル。
アメリカ製のそれとは異なる文化的文脈と、時代的要請が色濃く反映されたデザイン性を有します。
ユーロリーバイス特有の細部への配慮と、均整のとれたフォルムが印象的な本品。
特筆すべきはそのシルエット。
アメリカ本国モデルより長めに設定された着丈、そしてボックス型に近い身頃の構成が、どこかクラシックでありながらも洗練された印象を与えています。
肩から袖にかけてのラインもなだらかで、ゆるやかな自然さを保ちつつ、構築的な設計意図が感じ取れます。

ヨーロッパ生産のLevi’sには、どこかしら“均整美”を追求する意識が漂います。
本来、ワークウェアであったデニムジャケットに対し、ファッション性やシティユースの視点が導入されたことで、その造形にも微細な変化が現れました。
たとえばポケット位置の高さ、ユーロ圏特有のライトオンスな質感、縫製のテンション、ユーロリーバイスならではな染料など。
首元の襟のラインも印象的。
やや小ぶりなレギュラーカラーは、主張しすぎず、それでいてジャケット全体の表情を引き締める役割を果たしています。
加えて、両脇にはスリットポケットが備え付けられており、極めて機能的な構築。

デニムジャケットという定番アイテムに、ここまでの均整と抑制を加え、かつ時代の空気を逃さずパッケージングしているという意味で、本品は単なるアーカイブピースにとどまりません。
むしろ、未来に向けて繰り返し参照されるべき"基準"のような存在。
感性と実用の境界に、確かな形をもって佇む一着でございます。

■size(cm)
表記サイズ:XL
肩幅53.5/身幅65/着丈70.5/袖丈55.5

■textile
Shell:Cotton100%

■model
176cm

■condition
全体的に褪色があるほか、肩や袖に擦れ、裾の破れがございます。
その他は画像をご確認下さいませ。

発送まで4日程度頂戴いたします。

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