2000年代、“PRADA SPORT”の名のもとに生み出された、GORE-TEX素材のボンバージャケット。
過剰でもなく、無骨でもない、しかし確固たる意思を感じさせる佇まい。
それはまるで、都市という名の戦場における、静かなる装備。

1998年、“PRADA ACTIVE SPORT”の名で始まった"PRADA SPORT(プラダ・スポーツ)"。
それは、実験精神と合理性の融合を追い求めたスポーツラインでした。

ラグジュアリーブランドの文脈の中で、スポーツやテクノロジーといった要素を積極的に取り入れ、ミウッチャ・プラダのもとで新たな解釈を提示したライン。
ただの機能美ではない。そこにあるのは、"未来的知性"とでも呼ぶべき、冷ややかな感覚。
このボンバージャケットは、その結晶のひとつでございます。

本作に用いられているのは、GORE-TEXファブリック。
防水・防風・透湿という高度な機能を持ちながら、外見からはその性能を誇示しない。
静けさの中に潜むスペック。
無骨なアウトドアウェアとは一線を画す、都市的で洗練された表現。
それこそが、“PRADA SPORT”が目指した"知性と身体性の接点"でございます。

色は、砂色にほんのわずかなしっとりとした濁りを含んだグレージュ。
ミニマルでありながら、どこか柔らかな印象を残す絶妙な色調。
そこにアクセントとして添えられたのは、ネイビーのリブと裏襟、そして深紅のジッププル。
計算され尽くしたわずかな色差。
それはまるで、単調な日常の中に現れる微細な感情の揺れのよう。

シルエットは、いわゆるボンバージャケットの構造を踏襲しつつも、より洗練された線で描かれております。
肩はストレートに落ち、袖にはゆとり。
しかしそれは単なるルーズさではなく、動きに応じて美しく形を変える設計。
ウエストリブのテンションも控えめで、身体にまとわりつくことなく、品のある浮遊感を生み出します。

ジップを上まで閉じれば、スタンドカラーが首元を包み込み、都市の冷気を防ぐ構造に。
開け放てば、襟裏のネイビーがふと顔を覗かせ、着こなしに陰影を添えてくれます。
このわずかな仕様の差異が、機能と詩情のバランスを繊細に保ちます。
それは、着る人の意識と無意識を行き来するような感覚。

各生地を縫い合わせたステッチの痕跡。
それらは本来の役目を忠実に果たすべく、乱れなく点在しながらも、その実ダークグリーンの糸を使用した装飾性を備えたデザイン。
まさに、合理性と優美さの共存。
ハイテク素材を用いながら、いささかの野暮ったさも感じさせないのは、その設計と縫製の完成度の賜物でございます。
テクノロジーを表に出さず、それを美として昇華するという、ある種の「静かな革命」。

ポケットの配置も極めてミニマル。
装飾的な意図は一切なく、必要最低限の機能としてそこにある。
都市で生きる者のための実用品でありながら、どこか実用性を超えた"衣服の哲学"を感じさせます。

PRADA SPORTというラインが、いかにしてラグジュアリーの新たな可能性を切り開いていたかを、改めて実感させてくれる一着でございます。
機能は沈黙し、美がささやく。
そういった世界観に共鳴する方にこそ、手に取っていただきたいジャケットです。

■size(cm)
表記サイズ:52
肩幅47.5/身幅60/着丈67.5/袖丈68

■textile
Shell:Polyester100%(GORE-TEX)
Lining:Nylon100%

■model
176cm

■condition
とても綺麗なコンディションです。
その他は画像をご確認下さいませ。

発送まで4日程度頂戴いたします。

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