奥深きミリタリーフッションの世界でも殊更に人気かつ馴染み深いフレンチミリタリー。
中でも"M-35モーターサイクルコート"は、王道にして名作であることは明白でしょう。
今回ご紹介するのは、その中でも特に珍しいリネン素材のバリエーション。

通常、このM-35はコットンキャンバスで仕立てられた個体が大半を占めますが、本品はリネンまたはリネン混紡の粗野な織り地を使用した希少なバージョン。
着込むほどに柔らかく、肌に馴染み、天然素材特有の揺らぎを含んだ風合いが魅力です。

色はくすみのあるグリーン。
この色調はフランス軍特有のもので、他国の軍服には見られない独特の落ち着きを持っています。
水通しにより経年変化を重ねていくことで、少しずつ退色していくさまもまた、ミリタリー特有の美しさを生み出します。
時の経過が生地の表情を深め、着る人それぞれの物語を重ねていくのです。

シルエットはAライン気味のロング丈。
動きやすさを考慮したたっぷりとした身幅に、パリの風薫るラウンドした襟。
ウエストには共布のベルトが付き、着方によって表情を変えられるのも魅力です。
ミリタリーという厳格なカテゴリに属しながら、どこか流麗さすら感じさせるディテール。
これこそが、フランス軍のユニフォームが“機能美の極み”と称される所以かもしれません。

深いプリーツ、ラグラン仕様のスリーブ、そして袖口のカフストラップ。
これらの細やかな意匠は、決して装飾のためではなく、あくまで機能を突き詰めた結果です。
しかし、その合理性の中にこそ、宿る美意識。
この構造美にこそ、フランス軍服の真髄があります。

コットンキャンバスの個体に比べますと、現存するリネンタイプは非常にごく僅か。
年々、御提案の機会が減っていることも事実でございます。

コートは語りかけます——
日常の喧騒のなかで、静かに自分のスタイルを貫くことの意味を。

質実剛健でありながら、優美でもある——

この一着は、戦争という極限の状況下で生まれながら、いまを生きる私たちに寄り添う、静かな名品。
過去の遺物ではなく、“未来に繋がるヴィンテージ”として、次の時間を刻み始めています。

■size(cm)
表記サイズ:
裄丈86/身幅73/着丈114

■textile
Shell:Linen100%

■condition
全体的に着用感がある他、エポレットの片側のボタンが欠損しております。
その他は画像をご確認下さいませ。

発送まで4日程度頂戴いたします。

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※神経質な方のご購入はご遠慮ください。
※NCNR、ビンテージやアンティークにご理解のある方のみご購入下さい。