こちらは、2000年代"Aquascutum(アクアスキュータム)"によるバルカーンコート。
美しい煌くグレーのスーツ地に、一枚袖のパターンが優雅に落ち、着る人の動きに呼応するかのように柔らかなシルエットを描き出します。

アクアスキュータムは、1851年にロンドン西部の高級住宅地でジョン・エマリーによって創業された、英国を代表する老舗ブランドです。
ラテン語で「水のシールド」という意味を持つその名の通り、創業当初から防水ウールを用いたコートで名を馳せ、ヴィクトリア女王やウィンストン・チャーチル、さらにはロンドンの紳士淑女たちに愛され続けてきました。

トレンチコートの先駆者として知られるバーバリーと並んで、英国の気候と美意識を背景に進化を進めたアクアスキュータムは、クラシックとモダン、機能とエレガンスの絶妙なバランスを体現するブランドです。

さて、今回ご紹介するこのバルマカーンコートには、クラシックを知る人にとって垂涎とも言えるディテールがしっかりとございます。それが"一枚袖(ワンパネルスリーブ)"という仕様です。

袖とは、肩から袖口までを一続きのパネルで仕立てた、伝統的かつ高度な技術を追求した構造でございます。
通常のセットインスリーブと異なり、肩周りの可動域が広く、腕の動きに自然に従うという特徴がございます。

特にこの一枚袖が、本作のような軽いスーツ生地と組み合わされることで、まるで風に舞うような落ち着きと落ち感を演出します。

英国由来の伝統を感じさせながらも、現代の都市生活に進むシルエットと素材遣い。
ポケットやバックスタイルにも控えめながら確かな意匠が施され、日常に溶け込みながらも、どこか詩的な余韻を残しています。

「雨の中でも、佇まいを美しく。」

それは、創業以来変わらぬアクアスキュータムの哲学であり、今も変わらぬ信頼の証です。
高機能化繊素材が歩む今の時代にあっても、防水加工を施したコットンのスーツファブリックを用いたこのコートは、流行ではなく"美意識"に従って生きる人々にこそ、相応しい選択です。

時代や気候を超えて纏う、美しき実用。

風を受けて揺れるその布は、まるで過去と未来をつなぐ橋のように、静かにあなたの時間に寄り添います。
一枚袖に宿るのは、職人たちの手を紡いだ詩。

■size(cm)
表記サイズ:REG.38
裄丈82.5/身幅63/着丈107

■textile
Shell:Cotton100%

■condition
ベルト及びライナーが欠損しております。
また、目立った傷等はございません。
その他は画像をご確認下さいませ。

発送まで4日程度頂戴いたします。

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※神経質な方のご購入はご遠慮ください。
※NCNR、ビンテージやアンティークにご理解のある方のみご購入下さい。