遥か1837年、ティエリ・エルメスの名の下に誕生したメゾンは、パリの小さな馬具工房から始まりました。
王侯貴族のために鍛え上げられた革の技術は、時を超え、衣服という新たなキャンバスへと昇華して行きます。

パリ・オートクチュール専門学校を主席で卒業した鬼才、ヴェロニク・ニシャニアン女史がエルメスのメンズプレタポルテを任されたのは1988年のこと。
エルメスというラグジュアリーの頂点で彼女が追求するのはただ一つ、それは「究極の美」。
「ラグジュアリー」の言葉を嫌うニシャニアン女史のクリエイションは普遍的であり何処か日常的です。
しかしながら、最高の環境でデザインされるそれらは、単なる装いを超え、芸術の域に達したクラフトマンシップの結晶。
織込まれるのは単なる糸だけではなく、誇り高き伝統、選び抜かれた素材への敬意、そして一針ごとに宿る創造の精神を孕んでいます。

控えめでありながら雄弁で荘厳なディテール、自然と調和するような豊かな色彩、時代の変遷に左右されることなく老若男女に愛されるフォルム。
それら全てが永遠のエレガンスを物語ります。

オリーブの色彩を奏でるこちらは、エルメスメンズウェアの十八番、ブルゾンウェア。
注目すべきはそのパターンにありあます。
テープ状レザーのを配した袖口周りのディテールはそれらが装飾の為だけに意味形作られた訳ではなく、良く注意してご覧頂きますと前腕部にかけてラグランに仕様になっている事がお分かり頂けますでしょうか。
こちらにつきましては、日常的なデザインが根差した、ニシャニアン女史のクリエイションならではの造形であるとの解釈が正しいしょう。
タイトルにもあります通り、本品にはメッシュのライナーが採用されているのですが、アームはシェルと同様のファブリックのライニングをナイロンポリの生地を一枚噛ませる、つまりは三層の構造によって構築。ふんわりとした着心地の良さを与えてくれながらも、艶のあるポリエステルクロスの美しさを損なわぬ深慮の行き届いた設計になっている訳でございます。

細部に光るニシャニアン女史の意匠。
是非とも存分に愉しんでいただきたい所存です。

■size(cm)
表記サイズ:50
肩幅48/身幅55/着丈68/袖丈65

■textile
Shell:Nylon53% × Polyester42% × Polyurethane5%
Lining:Polyester100%
Wadding:Nylon80% × Polyester20%

■condition
襟元や一部に僅かな変色が見られます。
その他は画像をご確認下さいませ。

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